
近年、日本各地で外国人観光客が急増し、観光地や都市部の店舗を賑わせています。外国人観光客が増えることには、経済面・文化面の両方で大きなメリットがあります。
インバウンド需要の拡大は、売上アップだけでなく、経営の安定化や新しい顧客層の獲得、地域活性化にもつながります。こうしたメリットを理解し、適切に対応することが、今後の店舗経営において重要です。
本記事では、外国人観光客の増加がもたらす主なメリットと、店舗経営に活かすためのポイントをわかりやすく解説します。
※■POINT※
・外国人観光客を取り込むと、売上向上をはじめ複数のメリットがある
・多言語対応やオーバーツーリズムといった課題に対しては、集客施策と両軸で進める工夫が必要

海外旅行市場は世界的に拡大を続けています。世界全体では2024年の海外旅行者数が約14億人と、前年比11%増です。日本においても2025年1月の訪日外国人は約380万人で、前年同月比40.7%増と急伸しています。*¹
*¹出典:日本政府観光局(JNTO)
外国人観光客が増える背景には、以下の要因があります。
世界経済の回復による海外旅行需要の増加
日本政府によるビザ緩和措置
LCC(格安航空会社)の就航拡大による旅行コストの低下
特に注目すべきは、2024年に外国人観光客が日本で消費した総額が8.1兆円に達した点です。これは自動車輸出に次ぐ規模であり、インバウンド需要が国内経済を支える大きな柱になっていることを示しています。
この流れを取り込めなければ、新規顧客やリピーターの獲得、ブランド認知度の向上といった貴重な機会を逃すことになります。

外国人観光客を受け入れることには、単なる売上増以上のメリットがあります。代表的なのは以下の3点です。
季節を問わない集客で稼働率・売上が安定化する
客単価の向上が見込める
「口コミマーケティング効果」が強固になる
国内の観光客だけをターゲットにした場合、梅雨や連休明けなどの閑散期には来客数が減り、売上が天候や季節に左右されやすくなります。
一方で、外国人観光客の訪日需要は年間を通して高く、「日本の閑散期」が必ずしも当てはまりません。
例:梅雨の時期 → 日本独自の紫陽花の名所を楽しみに訪れる観光客が増加
例:冬季 → 雪景色や温泉、ウィンタースポーツ目的での来日が増える
こうした特性を取り込むことで、年間を通じて安定的な稼働率と売上を確保できます。
外国人観光客は「その土地でしか体験できない商品やサービス」に積極的にお金を使います。結果として、国内客よりも平均客単価が高い傾向にあります。
飲食店:ビールやワインを複数注文するなど、1グループあたりの飲食量が多い
小売店:免税制度を利用して、化粧品や家電製品をまとめ買い
観光施設:限定チケットや特別体験プランの購入率が高い
さらに、団体旅行やファミリー層での来訪が多く、一度の来店で大きな売上が期待できます。
外国人観光客は、旅行先選びにおいて「口コミ」を重視します。特に、同じ国や文化圏の旅行者の声は信頼性が高く、来店意欲を左右します。
Googleマップの口コミ:来店前の意思決定に直結
旅行系ポータルサイト(Tripadvisor など):施設比較の重要な指標
SNS(Instagram・TikTokなど):写真や動画による拡散力が強力
ポジティブな口コミが多言語で拡散されれば、海外での認知度が高まり、継続的に集客できる仕組みを築くことができます。
外国人観光客への対応は、単なる集客施策ではありません。多様な文化や価値観に合わせたサービスを整えることで、「なぜこの店を選ぶのか」という理由を生み出し、競合との差別化を図ることができます。この「選ばれる理由」は、国内外の顧客から長く支持されるための重要な基盤です。
代表的な効果は次の3点です。
多様なニーズから商品・サービスの改善ヒントが得られる
スタッフのモチベーションやスキルの向上が期待できる
海外から選ばれることによって「伝統の保護」に貢献できる
外国人観光客をターゲットにすることで、国や文化ごとに異なるニーズを吸収でき、商品開発やサービス改善のヒントを得られます。
食品・菓子類:地域特産品を使った限定商品が人気
飲食店メニュー:ベジタリアン・ハラール対応など食文化への配慮
土産物:季節やイベントにあわせたパッケージが好評
こうした発想は外国人向けにとどまらず、国内の顧客にも「地域らしさ」「新鮮さ」として受け入れられます。インバウンド対応で得た気づきを国内市場にも展開することで、店舗全体の商品力を底上げできます。
多国籍の観光客に対応するには、多言語対応や文化的背景への理解が欠かせません。その過程でスタッフのスキルや意識が自然と向上します。具体的な取り組み例としては、以下があります。
多言語マニュアルやフレーズ集の導入
接客フローを整理した図表の共有
ロールプレイング研修による実践練習
外国人観光客への対応力が向上すれば、国内客からも「安心して任せられる店」として評価されます。良質な口コミをスタッフと共有すれば、自分たちの努力が評価されているという実感がモチベーションを高める効果もあります。
外国人観光客の関心は「モノ消費」から「コト消費」へ、そして現在は、そのときにしか味わえない「トキ消費」へと進化しています。つまり「今ここでしか体験できない価値」に対して積極的に支出する傾向が強まっています。
例えば、以下のような施策が有効です。
地域の伝統行事に観光客参加型のプログラムを組み込む
年度限定の体験型アクティビティを企画し、再現不可能な体験を提供する
観光客は「また来年もこの地域に来たい」と感じやすくなり、リピーター化につながります。同時に、地域の伝統文化や祭りが国内外から評価されることで、地元住民の間にも「守り、次世代に残そう」という意識が強まり、結果として文化財や伝統技術の保護にも貢献できます。
インバウンド対応は、売上や集客だけではなく、地域や社会にポジティブな影響を与える取り組みです。地域に根差したビジネスほど「社会的な価値創造」が実感しやすく、それが巡り巡って事業の信頼性やブランド力を高めます。
代表的な効果は次の3点です。
地元食材・伝統文化のアピールで地域経済に好循環をもたらす
観光産業が盛り上がれば雇用の創出につながる
観光地としての魅力発信で地域活性化に貢献できる
外国人観光客は「その地域でしか体験できないもの」を求めています。都市部だけでなく地方に足を運び、地元の特産品や伝統文化を楽しむ傾向が強まっています。
その結果、地域経済には以下のような好循環が生まれます。
飲食店の活性化:地元食材を使った料理や限定メニューへの関心が高まる
宿泊需要の増加:ホテル・旅館・民泊の稼働率向上
土産市場の拡大:伝統工芸や特産品を購入する観光客が増える
例えば、長野県では地元の酒蔵ツアー・そば打ち体験が人気を集め、地域ブランドの再評価につながっています。地域資源を積極的に打ち出すことは、地域経済の循環を強める効果があります。
観光客の増加は直接的な消費にとどまらず、雇用拡大にもつながります。インバウンド消費は宿泊業や飲食業に加え、交通・流通・サービス業にも波及しています。具体的に生まれる雇用の例は以下のとおりです。
宿泊施設や飲食店のスタッフ
空港・鉄道・バスなど交通機関の人員
通訳ガイドや多言語サポート要員
観光マーケティングやデータ分析などのDX人材
観光業の拡大は、若年層やシニア層の就業機会を増やすほか、地域に根付いた働き方を支える役割も果たします。
外国人観光客は一人当たりの消費額が高く、グループで訪れるケースも多いため、地域に落ちる経済効果は大きいです。交流人口が増えることで、商業施設や観光スポットがにぎわい、地域の活力が高まります。
効果的な魅力発信の例は以下です。
SNSを活用した情報発信:旅行者がシェアした写真が新たな集客につながる
イベントやフェスティバルの国際化:地域の祭りに外国人参加枠を設ける
多言語Webサイトの整備:観光情報をわかりやすく提供
地域に来てもらうだけでなく、「地域の魅力を広く世界に伝える」ことが、地域活性化の推進力になります。
観光客の増加に伴い、言語の壁や文化の違い、混雑といった課題が現場で顕在化しています。
こうした課題を一方的に「管理」や「制限」で解決しようとするのではなく、観光客を協力者として捉え、“共により良い体験をつくる”姿勢が重要です。
もっとも多く挙げられる課題が、スタッフと観光客の間にある言語の壁です。意思疎通が難しい場面は依然として多いものの、ちょっとした工夫で大きく改善できます。
看板・メニュー・案内板の多言語化
ピクトグラムや写真を使った視覚的な案内
翻訳アプリやタブレット端末の活用
高額なシステムを導入しなくても、ジェスチャーやイラストを交えた説明で十分に伝わる場面もあります。重要なのは「どうすれば伝わるか」を工夫する姿勢です。
文化や習慣の違いは、誤解やトラブルにつながる一方で、学びや体験のチャンスでもあります。例えば、温泉地には以下のようなマナーがあります。
入浴前に体を洗う
タオルを湯船に入れない
これらを事前に案内することで「日本ならではの体験」として楽しんでもらうことができます。マナー違反を注意するだけではなく、「体験」として前向きに伝えることが、観光客にとっての満足度を高めます。
観光客が特定エリアに集中しすぎると、地域や環境への負荷が高まる「オーバーツーリズム」が発生します。これは国内観光客の離反にもつながるため、集客と同時に対策を進める必要があります。
有効な対策例は以下です。
平日の来訪を促す「オフピーク割引」
人気スポット以外の観光資源を紹介し、来訪地を分散させる
宿泊拠点を広域に設け、移動を楽しめる観光導線を設計する
持続可能な観光を実現するには、集客と地域保護を両立させる視点が欠かせません。
外国人観光客は、Googleマップや口コミサイト、SNSといった媒体を通じて観光先の情報を得ています。そのため、外国人観光客向けの施策としてはこれらの管理が重要になります。しかし、すべての媒体で情報発信するには多くの工数を割かなければなりません。
イクシアス株式会社の店舗情報発信・分析プラットフォーム「STOREPAD」であれば、一つのダッシュボードで、さまざまな媒体の店舗情報を一括更新できます。作業の工数を削減でき、情報発信の仕方に工夫を凝らす余裕が生まれ、さまざまな媒体の閲覧数増加につなげることが可能です。
国内ポータルサイトやマップアプリはもちろん、海外ポータルサイトとも連携しており、外国人観光客への集客や情報発信に活用できます。自動翻訳機能もあり、外国人観光客への情報発信や口コミ対応も柔軟に行えます。
外国人観光客対策に有効活用できる「STOREPAD」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。

【調査レポート】インバウンドの中心国(中国・韓国・台湾) から見た、日本のごはん事情を徹底比較! 選ばれる飲食店の共通点とは?
調査レポート
飲食

【調査レポート】アジア主要3地域の”使うメディア”はこれ! 飲食店向け集客ガイド
調査レポート
飲食

【虎の巻 第1章】店舗事業者に向けた集客手法の基礎知識
トレンド・ノウハウ
監修者プロフィール
折川 穣(Jo Orikawa)
IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/
