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なぜ外国人観光客が増えているのか?観光業が取るべき最新インバウンド対策 

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アフターコロナ以降、日本を訪れる外国人観光客は年々増加しています。背景には、ビザ緩和やLCCの就航拡大、世界的な旅行需要の回復などの要因があります。こうした流れを受けて、日本の観光業はかつてない成長期を迎えています。

一方で、現場では人手不足が深刻化しており、観光業の効率化や多言語対応、キャッシュレス化など、DXによる仕組みづくりが急務となっています。本記事では、外国人観光客が増加している理由をデータとともに解説し、インバウンド需要のメリットと、観光現場で今すぐ取り組むべき対策を紹介します。


※■POINT※

・ビザの緩和や航空運賃の値下げなど、近年は海外旅行のハードルが下がっている

・外国人観光客を取り込むうえでは、多言語対応や情報発信など多角的な対策が必要

外国人観光客が増加している理由とは

日本を訪れる外国人観光客が増えている背景には、主に3つの要因があります。

  • ビザの緩和による渡航条件の条件

  • LCC(格安航空会社)の就航拡大による移動コストの低下

  • 世界的な旅行需要の回復と市場の活性化

こうした経済的な理由を背景として、インバウンド需要は著しい増加傾向を示しています。しかし、単に「費用が安いから日本を選ぶ」という単純な理由ではありません。日本が選ばれるのは、旅行先としての魅力と体験価値が高まっているためです。

理由1.ビザの緩和による渡航促進

訪日外国人は、東アジア圏からの旅行者が多くを占めています。株式会社JTB研究所の観光統計では、2025年6月の時点で、国別にみると最も人数が多いのは中国、次いで韓国、台湾の順です。

かつて日本はアジア各国に対してビザ発行条件を厳しく設定していましたが、インバウンド需要の拡大に合わせて段階的に緩和しました。とくに2024年12月25日に発表された中国人向けビザの大幅緩和は象徴的です。

新たに創設された10年有効の観光ビザでは、富裕層を対象に「10年間の有効期間内で最大30日までの滞在を何度でも可能」にしています。また、団体観光ビザの滞在期間もこれまでの2倍に延長されました。

こうした制度改正により、中国の富裕層が日本を繰り返し訪れる動きが強まっており、今後は高単価なインバウンド事業の拡大が見込まれます。

理由2.LCC就航数の増加と移動コストの低下

東アジア圏の旅行者は、距離が近いこともありLCC(格安航空会社)を利用する傾向があります。韓国やフィリピンからの旅行者では、その利用率が50%を超えるという調査結果もあります。

背景には、以下のような要因が挙げられます。

  • LCCの就航数が増加したこと

  • ウクライナ情勢の影響で高騰していた原油価格が下落し、航空運賃が低下したこと

  • 羽田空港の国際化による海外路線の増便

  • 地方空港でのLCC受け入れ体制の整備

LCCを利用した外国人観光客の増加には、こうした複合的な理由がつながっていると考えられます。

理由3.世界的な旅行市場の回復と日本人気の高まり

世界的に見ると、旅行市場全体が好調な推移を示しています。

UN Tourism(世界観光機関)が発表した資料では、2025年第1四半期に国境を超える海外旅行者数が3億人を超えました。さらに世界の観光地の多くが収入を伸ばしている中でも、日本の国際観光収入は34%の大幅な伸びを示しています。

また、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)の2025年調査で、世界の海外旅行者が支出する額は2兆1千億ドル(約307兆円)に達する予測を発表しました。これは2019年の過去最高額だった約279兆円を超える金額です。

観光産業全体が世界的に上向いている時流で日本は急成長を示しており、外国人観光客の増加は続くと考えられます。

近年のインバウンド需要の変化:モノ消費からコト消費へ

外国人観光客の「数」だけでなく、「消費の内容」にも変化が見られます。2014〜2015年頃は、中国人旅行者によるいわゆる「爆買い」が注目されました。しかし、近年は、モノ(商品)消費からコト(体験)消費へとシフトしています。

リピーター層を中心に、

  • 神社や仏閣の参拝

  • 景勝地の観光

  • 街歩きや伝統文化体験

といった「日本ならではの体験」を求める旅行が増加。

今後は、固有の文化に根ざした日本ならではのサービスが、インバウンド需要の新しい牽引力として重要になっていくでしょう。

外国人観光客を取り込むメリット

外国人観光客がもたらすインバウンド収入は、経済効果や地域活性化、ブランド認知の向上など、多方面にわたるメリットがあります。観光地や店舗単体の収益にとどまらず、周辺地域や関連産業にも波及するのが特徴です。

経済効果を得られる

インバウンド需要の最大のメリットは、経済効果の拡大です。海外からの需要を取り込むことで、国内市場だけでは届かない大幅な売上アップが期待できます。

外国人観光客は日本ならではの商品やサービスへの関心が高く、高単価な消費を行う新しい顧客層となり得ます。たとえば、最新の電化製品や日本特産の高級食材、伝統工芸品、サブカルチャー関連のグッズなどに積極的に支出する傾向があります。

さらに、日本人では気づかない自国商品の価値や魅力を再発見してくれるケースもあり、新たな販路開拓やプロモーション機会の創出にもつながります。「日本文化」と聞くと伝統芸能や史跡を思い浮かべがちですが、現代ではゲームやアニメといったコンテンツも海外で高い需要を持っています。

店舗の認知度が向上する

外国人観光客が店舗を訪れること自体が、自然な海外PRにつながります。とくにSNSが普及した現在では、旅行者が訪日体験を写真や動画付きで発信するのが一般的です。

旅先で出会った料理や商品、サービスが「体験談」として共有され、海外の視点で評価されることで共感を呼びやすくなります。こうした発信がきっかけで店舗が急速に注目されるケースも珍しくありません。いわゆる「バズり」現象によって、数日で世界的な知名度を得る可能性もあります。

市場での競争力が高まる

外国人観光客に向けたマーケティングは、国際的な規模を想定した高度な戦略が要求されます。観光分野ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されており、より高度な市場への対応力が求められています。

たとえば、多言語対応のWebサイトやOTA(オンライントラベルエージェント)による予約システムの整備は、訪日前の利便性を高めます。予約・顧客情報を一元管理するPMS(プロパティマネジメントシステム)を導入すれば、運営効率をさらに向上できます。

キャッシュレス決済やスマートガイドの導入によって観光客の利便性が高まり、SNSでの好意的な発信やリピート訪問にもつながります。こうした施策は、属人化を防ぎつつ観光地の運営をシステム化するうえでも有効です。

さらに、外国人観光客による消費は外貨獲得という側面もあり、国際収支の改善や日本経済全体の安定にも寄与します。

地域の活性化につながる

外国人観光客の増加は、地域経済を支える新たな原動力になります。観光地では宿泊施設や飲食店の需要が増加し、新たな雇用が生まれます。地域ごとに異なる文化や行事、郷土料理、建築様式などの独自性は、外国人にとって強い魅力となります。特産品を購入する「モノ消費」と、文化体験を楽しむ「コト消費」の両方で満足度を高めることができます。

地域の強みを活かしたブランド化も効果的です。観光地の特産品や体験プログラムを組み合わせて体系的に発信することで、地域全体の価値を高められます。

さらに、住民と事業者が協力しながら先進技術を導入し、地域資源を最大限に活用することで、観光を軸とした新しい地域経済の基盤を築くことができます。

インバウンド需要に関する店舗課題

インバウンド需要の増加はメリットだけではありません。外国人観光客側の日本文化理解が不十分な場合があり、受け入れ側にも他国の文化や慣習を理解する姿勢が求められます。接客現場では、知識不足や誤解がトラブルに発展するリスクがあるため、店舗は課題の解消に計画的に取り組む必要があります。

「言語の壁」を乗り越える必要がある

外国人観光客が最初に直面しやすいのは言語の壁です。日本語は日本以外での使用が限られており、短期間での習得は現実的ではありません。そのため、海外向けの情報発信では多言語対応のWebサイトが必須です。多くの旅行者は母語で情報収集を行うため、日本語のみだと機会損失が発生します。

自動翻訳は補助として有効ですが、固有名詞や文脈の誤訳が残ることがあります。ピクトグラムによる視覚案内や、よくある質問を多言語で応対できるAIチャットボットの導入も有効です。

また、英語だけでは十分でないケースもあるため、訪日比率の高い中国語(簡体字・繁体字)や韓国語(ハングル)の表記を整えることが望ましいです。

文化背景への理解・配慮を求められる

食文化や生活習慣、宗教的な価値観は国や地域で大きく異なります。文化的背景を理解し、配慮した運用が必要です。

  • 例:一部の地域ではトイレにトイレットペーパーを流さず、ゴミ箱に捨てる習慣があります。公衆トイレには使用方法を多言語やピクトグラムで掲示します。

  • 例:イスラム文化圏では、女性が親族以外の男性と接触しない価値観があります。女性スタッフでの応対体制を準備します。

店舗スタッフは、避けるべき行動を明確に伝えつつ、相手のタブーに該当する行為を回避するよう注意が必要です。

宗教・アレルギー・衛生管理への対応が必要

食事は観光体験の中心であり、宗教戒律や思想信条、アレルギーへの配慮が欠かせません。好みの問題ではなく、遵守すべきルールとして扱う必要があります。

  • イスラム圏:ハラール食材を用意し、豚肉・アルコールの提供は避けます。

  • ヒンドゥー教:牛・豚を避ける習慣があります。

  • ベジタリアン/ビーガン:動物性原料の有無を明示します。

原材料表記、調理器具の扱い、厨房内の衛生基準は、日本人客以上に厳格に運用します。オーダー時には食べられる/避ける食材を必ず確認します。

多様な決済方法に対応する

日本では現金決済の比率が依然として高い一方で、訪日客はキャッシュレスを前提に行動するケースが多いです。両替拠点の少なさや小銭携帯の煩雑さが障壁になりやすいため、主要ブランドへの対応が重要です。

  • 中国:Alipay、銀聯カード

  • 韓国:VISAなどのクレジットカードやデビットカード

  • 欧米:VISA/Mastercard/American Express

観光地では、上記に対応した決済端末の導入を検討します。受付・会計の摩擦が減ることで、回転率と満足度の向上が期待できます。

口コミ・SNSでの評判管理

旅行者は体験をSNSや口コミサイト(Googleマップ、Tripadvisor など)で発信します。短期間で話題が拡散する可能性がある一方、意図しないネガティブ拡散も起こり得ます。

  • 投稿促進:レビュー依頼の導線や多言語テンプレートを用意します。

  • 返信方針:感情的な応酬を避け、一次回答テンプレート+迅速なエスカレーションで対応します。

監視体制:通知設定や定期モニタリングを行い、早期火消しと再発防止に努めます。

インバウンド対策の実践ポイント6つ

外国人観光客へのインバウンド対策では、言語や文化の違いを踏まえ、どのように情報を伝えるかが重要です。情報発信や接客の工夫によって、満足度を大きく高めることができます。

ここでは、現場で実践しやすい6つのポイントを紹介します。

ターゲット地域を明確にする

訪日する外国人観光客は多様であり、求める体験も国や地域によって異なります。そのため、あらゆる国に一律でアプローチするのではなく、自店舗や観光地と親和性の高い地域をターゲットとして設定することが効果的です。広く浅い発信よりも、「自分向けの情報だ」と感じてもらえるようなテーマ設定が重要です。

主な関心分野の例:

  • 歴史的価値のある神社仏閣をめぐる旅

  • 地元の郷土料理を楽しむグルメツアー

  • パウダースノーを目的としたスキー旅行

  • 伝統工芸やものづくりの現場見学

外国人観光客は、一律に同じ楽しみを求めているわけではありません。ターゲット層の関心が高い分野についての具体的な情報発信が有効です。

看板やメニュー表などの外国語対応

観光地で最初に目に入るのは、看板や標識です。英語対応だけでなく、中国語や韓国語など、主要な訪日国の言語への翻訳が欠かせません。

店舗のメニュー表も同様に、外国語表記を整備しましょう。スペースの関係で全言語を併記できない場合は、QRコード式のデジタルメニューが有効です。また、言語が通じない国からの観光客に備えて、メニューに番号を振り、指差し注文ができる仕組みを整えると、注文の負担を軽減できます。

文化背景に配慮した商品・サービス提供

文化や宗教によって、食材や体験内容への考え方は異なります。イスラム圏の観光客にはハラール認証食材の使用を、ベジタリアン層には肉を使わないメニューの提供を検討しましょう。

ただし、宗教戒律や食文化は地域や宗派によって解釈が異なる場合があります。そのため、オーダー時に食べられる食材・避ける食材を確認することが確実です。小さな気配りが、店舗への信頼や再訪意欲を高めます。

地域性を活かした集客施策

地域の魅力を再発見し、ローカル体験を前面に出すことも効果的です。その土地でしか味わえない文化やイベントは、外国人観光客にとって大きな価値があります。

たとえば、伝統行事や地元の食文化、地域に伝わるストーリーを体験型プログラムとして企画することで、「ここでしかできない体験」として選ばれやすくなります。また、地域の歴史や背景を深掘りすることで、観光コンテンツに奥行きを持たせることができます。

こうした取り組みは、体験型観光の推進にもつながります。

キャッシュレス対応を含めた店舗DXの推進

インバウンド需要が増えるほど、接客や会計対応の負担が増加します。そこで重要なのが、デジタル化(DX)による効率化です。

特にキャッシュレス決済への対応は優先度が高く、主要国の決済手段に対応しておくことが求められます。導入コストはかかりますが、現金管理の手間・トラブル・盗難リスクを軽減でき、顧客満足度の向上にもつながります。支払いデータを活用すれば、顧客属性の分析や再来店施策にも活かせます。

オンラインを活用した情報発信

SNSは、海外へ情報を届けるもっとも手軽で効果的な手段です。個人アカウントでも情報を発信できるため、リアルタイムで観光地や店舗の魅力を伝えられます。

ただし、国や地域によってよく使われるSNSは異なります。たとえば、中国ではWeChat(微信)、台湾ではFacebookが主流です。ターゲット地域に合わせて、利用率の高いプラットフォームを選びましょう。

さらに、来日中の観光客が目的地を検索する際に利用するGoogleマップ対策(MEO)も有効です。口コミや写真の掲載、営業時間の最新化などを継続的に行い、見つけやすい店舗づくりを意識しましょう。

インバウンド対策に「STOREPAD」

イクシアス株式会社の店舗集客支援ツール「STOREPAD」は、外国人観光客へ向けたインバウンド対策の強い味方になります。

Googleと多くのSNS、各業界ポータルサイトで発信する店舗情報を一括管理でき、情報投稿ではAI支援による多言語に対応した翻訳機能が備わっています。インバウンド対策の重要課題になる「言語の壁」を乗り越えるのが格段に容易になるでしょう。さらに、口コミ管理にも多言語翻訳機能があるので、世界各国の外国人観光客とのコミュニケーションも簡単です。

また、Googleマップ利用者に向けたMEO対策は、分析機能で常に最適化が可能です。インバウンド対策にも、STOREPADの集客支援機能を活用してください。

お役立ち資料

店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。

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    監修者プロフィール

    折川 穣(Jo Orikawa)

    IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/

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