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外国人観光客が日本で困ること4選|店舗が今すぐできるインバウンド対策 

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外国人観光客にとって、日本は魅力的な旅行先である一方、滞在中に戸惑いや不便を感じる場面もあります。小さなストレスでも、体験全体の満足度や口コミに影響するため、店舗側の配慮が欠かせません。

本記事では、訪日客が実際に「困りやすいポイント」を4つ取り上げ、現場ですぐに取り入れられる対策を紹介します。

※■POINT※

・「困ったことはなかった」と答える外国人観光客が増えている一方、ごみ箱の少なさやコミュニケーションの問題が課題

・飲食店や宿泊施設においては、案内表示の多言語対応やインバウンド対策を見据えたSNS運用が重要

外国人観光客が日本で困ることとは

観光庁が2025年に発表した調査によると、訪日観光中に「困ったことはなかった」と回答した外国人が51.1%となり、前年から大きく改善しました。宿泊・交通・多言語対応など、受け入れ環境の整備が進んでいる結果といえます。

一方で、残りの約半数は何らかの不便を感じています。主な回答は次のとおりです。

  • ごみ箱の少なさ:21.9%

  • 施設スタッフとのコミュニケーション:15.2%

  • 観光地や地域の混雑:13.1%

いずれも「観光体験の快適さ」に直結する要素であり、改善の余地が残されています。

特に「ごみ箱の少なさ」は、「食べ歩き後に捨てる場所がない」「移動中に持ち続けるしかない」といった声が多く、飲食店では「スタッフとの言語コミュニケーションが難しい」と感じるケースもあります。そのため、翻訳ツールや多言語案内を導入する店舗も増えています。

訪日客が増え続けるなかで、こうした「小さな不便」を解消できるかどうかが、選ばれる店舗・観光地になるための分岐点となります。

困ること1:ごみ箱の少なさ

訪日客の不満として最も多く挙げられるのが「ごみ箱の少なさ」です。ここでは、日本でごみ箱が少ない背景と、それが観光客に与える影響を整理します。

なぜ日本にはごみ箱が少ないのか

1990年代以降、日本では公共のごみ箱が急速に減少しました。

きっかけは、1995年の地下鉄サリン事件をはじめとするテロ対策です。

国土交通省と鉄道各社は2005年に「鉄道テロ対策連絡会議」を設置し、駅構内など人が多く集まる場所ではごみ箱の集中管理や撤去を進めました。

懸念された「ポイ捨ての増加」はほとんど発生せず、むしろ駅周辺の清潔さが向上しました。もともと家庭ごみの持ち込みや不法投棄が問題となっていたため、撤去が一定の効果をもたらしたとされています。

さらに、日本では「他人に迷惑をかけない」という価値観が浸透しており、「ごみは持ち帰る」が暗黙のマナーとして定着しています。この文化的背景も、ごみ箱の少なさを支える要因となっています。

清潔さは評価されている一方「不便」の声も

日本の街並みは清潔だと高く評価されていますが、「ごみを捨てる場所が見つからない」という不便さは依然として指摘されています。特に食べ歩きやテイクアウトを楽しむ旅行者にとって、次のような状況がストレスにつながりやすい傾向があります。

  • コンビニで買った軽食を食べた後、捨て場所が見つからない

  • ごみをホテルまで持ち帰る必要がある

  • ごみ箱を探して移動時間が増える

こうした不便さが解消されない場合、ごみを持ち続けられず、そのまま公共スペースに放置してしまうケースも一部で発生しています。

オーバーツーリズムのごみ問題に発展する可能性

ごみ箱の不足は、ごみの放置や集中を招き、オーバーツーリズムの問題を深刻化させる要因にもなります。ごみが一箇所に溜まれば清掃が追いつかず、景観の悪化や悪臭、動物被害などにつながるケースもあります。繁忙期の観光地では、こうした負荷が特に顕著です。

持続可能な観光地を維持するには、「清潔な環境」を保ちつつ、「観光客がごみを適切に処理できる仕組み」を両立させる視点が欠かせません。

困ること2:施設等スタッフとのコミュニケーション

言語が通じない状況は、観光客にとって大きなストレスになります。質問ができない、メニューが読めないといった場面は、店舗や施設への印象にも影響します。ここでは、言語対応の重要性と実践的な対策を紹介します。

「言語」は観光体験の質を左右する要素

言語が通じない状況は、単なる不便ではなく、施設や接客への評価そのものに影響します。質問が伝わらない、メニューや注意書きが読めないといった場面では、「対応が不親切」「外国人に慣れていない」と感じられることもあります。

とはいえ、すべてのスタッフが英語や中国語を話せる体制を整えるのは現実的ではありません。そのため、次のようなツールを活用した多言語サポートが広がっています。

  • 翻訳アプリやAI翻訳機の導入

  • デジタルサイネージ(多言語表示の電子案内)

  • QRコードによる多言語メニュー・説明書き

これらを導入することで、スタッフの語学力に依存せず、一定水準の対応を実現できます。

外国人観光客は母国語で情報収集を行う傾向にある

訪日前の情報収集は、母国語での検索が一般的です。日本語のみで発信している店舗や施設は、検索結果に表示されにくく、そもそも候補に入らないリスクがあります。

また、機械翻訳で閲覧された場合でも、ニュアンスが正しく伝わらず、内容が理解されないまま離脱されるケースもあります。そのため、英語・中国語・韓国語などへの多言語対応は、集客面での必須施策といえます。

多言語対応の重要性

多言語対応は、案内を読めるようにするための配慮にとどまらず、店舗や施設のブランド価値を高める施策としても機能します。外国語での案内やSNS発信を行うことで、次の効果が期待できます。

  • 「外国人を歓迎してくれている」という好印象を与える

  • 海外ユーザーからの認知度・信頼度が向上する

  • 母国語での口コミやSNS投稿が増え、情報拡散が進む

世界のインターネットユーザーのうち、日本語ユーザーは約3%に過ぎません。日本語だけで発信している限り、残り97%の市場にリーチできないということになります。多言語対応は、インバウンド集客の“拡張余地”を広げるための前提条件といえます。

困ること3:観光地や地域の混雑

観光地の混雑は、外国人観光客だけでなく、地域住民にとっても負担となる課題です。本項では、背景にあるオーバーツーリズムの問題と、その影響を整理します。

オーバーツーリズム問題

オーバーツーリズムとは、観光客が特定のエリアに過度に集中し、地域社会や環境に負荷を与える現象を指します。交通渋滞、ごみ問題、騒音、生活空間への侵入などが代表的な影響です。もともと欧州の観光地で指摘されていた問題ですが、近年は日本でも京都・鎌倉・富士山周辺などで深刻化しています。

この状態が続くと、観光客の満足度が低下するだけでなく、地域住民の生活にも支障が生じます。たとえば京都では、観光地周辺のバスが常に満員になり、住民が通勤・通学に利用できないという事例が報告されています。こうした状況は、観光客への反発や摩擦を生む原因にもなります。

混雑・交通渋滞

主要観光地では以下のような課題が頻発しています。

  • 公共交通機関の混雑により、観光客も住民も移動しにくくなる

  • 大型スーツケースの持ち込みで通路がふさがれる

  • 駐車場不足により、違法駐車や生活道路への侵入が増加

特に外国人観光客の場合、日本の交通ルールや標識に不慣れなこともあり、意図せず生活道路に進入してしまうケースも見られます。行政による増便や交通誘導策は進められているものの、観光客の増加ペースが上回っているのが実情です。

マナー問題

観光客の急増に伴い、マナーに起因するトラブルも目立っています。地域で実際に発生している例としては、次のようなものがあります。

  • 夜間の騒音や路上飲食による生活環境の悪化

  • SNS投稿目的での無断撮影や立入禁止エリアへの侵入

  • ゴミのポイ捨てや喫煙マナー違反

こうした行為は、地域住民のストレスを高め、観光客への不信感や反発につながります。実際、一部地域ではSNS上で外国人排斥的な投稿が増えるなど、社会的対立を生む要因にもなっています。

困ること4:支払い・チップ・マナーの違い

その他、外国人観光客が困ることとして「支払い・チップ・マナーの違い」が挙げられます。日本と海外では文化や習慣が異なるため、戸惑う外国人観光客もいるようです。

キャッシュレス決済の普及率のギャップ

日本のキャッシュレス決済率は、2024年時点で約43%にとどまっています。対して、韓国や中国は80〜90%、アメリカでも50%を超えており、海外の旅行者にとって「現金のみ対応の店舗」は想定外の不便につながります。

多言語対応の決済端末や、主要ブランドのクレジットカード・QR決済を導入することで、支払い時のストレスを大幅に軽減できます。特に観光地や飲食店では、「キャッシュレス対応=歓迎されている」というポジティブな印象につながり、売上や口コミにも良い影響を与えます。

チップ文化の有無での戸惑い

多くの国では、サービスへの感謝としてチップを渡すことが一般的ですが、日本にはチップ文化がありません。そのため、訪日客の中には「渡すべきか」「拒否されるのか」と迷うケースが見られます。

こうした戸惑いを軽減するため、最近では「チップボックス」を設置する店舗も増えています。集まったチップは、スタッフの福利厚生や研修費に充てるなど、文化の違いを受け入れる柔軟な仕組みとして活用されています。

日本独自のマナーやルールに関する誤解

外国人観光客は、日本独特のマナーや自治体ごとの細かなルールに戸惑うこともあります。たとえば以下のような誤解や行動が報告されています。

  • ごみの分別方法が分からず、まとめて捨ててしまう

  • 喫煙ルールや撮影禁止エリアを把握しておらず、違反してしまう

事前に文化を学んでいても、現地で初めてルールを知るケースは少なくありません。そのため、自治体や店舗側には、多言語サインやピクトグラム、AI翻訳ツールなどを活用し、現場で理解を補助する仕組みづくりが求められます。

「困ること」対策の実践ポイント

「困ること」への対策としてはさまざまな施策が考えられます。ここからは、対策の実践ポイントを紹介します。

メニュー表や案内表示の多言語化

外国人観光客が困るシーンの代表が「表示やメニューが読めない」ことです。多言語表示を整備することで、サービス内容が明確になり、安心感と満足度が大幅に向上します。

取り組みのポイントは次の3つです。

  • ピクトグラムやイラストの活用:文字が読めなくても理解できる表示を心がける

  • QRコードによる多言語メニューの提供:スマートフォンで各国語版の案内を表示

  • 翻訳精度の高いアプリ・AI機器の導入:リアルタイム通訳でスムーズな接客を実現

あわせて、スタッフがよく使う基本フレーズを覚えておくことも有効です。「How many people?」「This way, please.」など、短い定型文だけでも対応スピードが大きく変わります。

ホームページの多言語化

外国人観光客は、旅行前にWebで情報収集を行う割合が非常に高い傾向にあります。そのため、ホームページの多言語化は、認知度向上と集客強化の両方に直結します。

実施のステップは以下のとおりです。

  • ターゲット地域の明確化

例:訪日数が多い中国・韓国・台湾、今後伸びる東南アジア地域など

  • 各国文化・嗜好に合わせたデザインや配色

欧米圏はシンプル重視、アジア圏はビジュアル要素を好む傾向など

  • レイアウトの最適化

言語によって文字量や改行位置が変わるため、読みやすさを損なわない調整が必要

ホームページを多言語対応にすることで、情報が正しく伝わり、世界中の旅行者に店舗・施設の魅力を届けられます。それが「選ばれる存在」になるための土台となります。

キャッシュレス決済への対応

キャッシュレス決済に対応すれば、支払いのストレスを減らし、購買意欲の向上につながります。ただし、利用されている決済手段は国や地域によって異なる点に注意が必要です。

国・地域

主な決済手段

中国

Alipay(支付宝)、WeChat Pay、QRコード決済

韓国

クレジットカード、QRコード決済

台湾

クレジットカード、Apple Pay、QRコード決済

欧米圏

クレジットカード(VISA・Mastercardなど)、Apple Pay、Google Pay

このように、ターゲット層に合わせた決済手段を導入することが鍵です。導入前には、訪問者の国籍データや顧客アンケートを参考に、「どの決済が一番利用されているか」を把握しておくと効果的です。

ターゲット地域に応じたSNS運用や口コミ対応

SNSは外国人観光客にとって、旅行先の情報を集める重要なツールとなっています。InstagramやFacebookを活用し、日本の観光スポットや文化の魅力を視覚的に伝えることで、外国人旅行客の興味を引くことも可能です。

SNS運用で重要になるのが「口コミ対応」です。良い口コミには感謝を伝え、悪い口コミには事実確認と改善姿勢を示すことで、アカウント全体の信頼性を高めることができます。

また、使うSNSの選択はターゲット地域によって異なります。

  • 台湾:Facebook利用率が高い

  • 中国:Weibo・小紅書(RED)が主流

  • 欧米圏:Instagram・YouTubeの影響力が大きい

このように、国ごとのプラットフォーム特性を踏まえた発信が、効率的なアプローチにつながります。

インバウンド対策に「STOREPAD」

外国人観光客へのSNSを通じた発信には、イクシアス株式会社の「STOREPAD」が活用できます。ホームページやSNS、地図アプリ、国内外のポータルサイトなどさまざまなメディアと連携して統合管理が可能です。

複数メディアを利用する場合にも、一括で更新するため、手間をかけずに最新情報を発信できます。

投稿内容を考える際にはAI補助を利用でき、AI翻訳機能もあるため、誰でも多言語対応が可能です。外国人観光客への情報発信に、ぜひ活用してください。

お役立ち資料

店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。

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    監修者プロフィール

    遠藤 啓成(Endo Hiromasa)

    イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。

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