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サロン経営における原価率とは?利益を出す...

MEO

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2026.03.18

サロン経営における原価率とは?利益を出すためのポイントも合わせて紹介

  • # リラクゼーション

  • # 美容室

サロンの売上を大きく左右するのが、メニューの価格設定です。「この価格で本当に利益が出ているのか」と不安になったとき、まず見直したいのが原価率です。原価率を正しく把握できると、利益が出ない理由や改善のヒントが見えてきます。

この記事では、原価率の基本や業種ごとの目安、原価率が適切でも利益が残らない理由、自店の収益構造のチェック方法、そして改善につながる具体的なアプローチを紹介します。

※POINT※

  • 原価率が適正でも利益は出ない。人件費・固定費・生産性など収益構造全体を見て管理することが重要。

  • コスト削減だけでは限界がある。客単価・リピート率・店販など、売上を伸ばす仕組み化が利益改善の鍵となる。

サロン経営における「原価率」とは?

サロン経営では売上や利益率に意識が向きがちですが、収益性を高めるためには「原価率」を正しく管理することが重要です。原価率を把握することで課題が明確になり、利益改善に向けた具体策を検討できます。まずは原価率の計算方法や、サロン特有の考え方を整理します。

原価率の計算方法と基本的な考え方

原価率は「売上原価 ÷ 売上高 × 100」で算出します。

例えば、月商100万円で材料費が8万円の場合、原価率は8%です。原価率が低いほど利益は残りやすく、数%の改善でも年間では大きな利益差につながります。

一方で、数値を下げることだけを目的にすると、材料の質を落とすなどサービス価値を損なうリスクがあります。重要なのは、客単価や提供価値に見合った原価率かどうかです。原価率は「削る指標」ではなく、「経営判断の基準」として扱う必要があります。

技術売上と店販売上を分けて考えないと、原価率は正しく見えない

サロンの売上は、大きく「技術売上」と「店販売上」に分かれます。

技術売上は施術による収益で、原価には薬剤や消耗品が含まれます。一方、店販売上は商品の仕入れと販売による収益で、比較的原価率が高くなるケースが多いのが特徴です。

この2つを合算すると、実態より原価率が高く見えたり、逆に利益構造を誤認したりします。

正確な利益管理を行うためには、以下を分けて集計し、それぞれ個別に改善策を考える必要があります。

  • 技術売上の原価率

  • 店販売上の原価率

サロン業界の原価率目安は5〜10%(業種別)

サロン業界における原価率の目安は5〜10%程度といわれていますが、業種やメニュー構成によって数値は変動します。主な業種別の目安を確認しましょう。

ヘアサロンの目安

ヘアサロンの原価率は10%前後になるケースが多く見られます。カットのみのメニューであれば、使用する材料はシャンプーや消耗品程度のため、原価率は極めて低くなります。一方で、カラーやパーマ、システムトリートメントの比率が高い店舗では、薬剤コストが増大するため、原価率が10%を超えるケースもあります。

薬剤コストが利益を圧迫している場合は、メニュー価格の再設定や、薬剤の塗布量見直しによる適正化が必要です。

ネイル・アイラッシュの目安

ネイル・アイラッシュサロンの原価率は8%前後が目安です。 1回あたりの材料費は比較的安価ですが、この業種で注意すべきは「廃棄ロス」です。

  • ジェルの劣化やリムーバーなどの使用期限切れ

  • 流行遅れによるパーツやカラー剤のデッドストック

上記は原価を押し上げる要因となります。在庫の回転率を意識し、無駄な仕入れを抑えることが実質的な原価率の安定につながります。

エステ・リラクゼーションの目安

エステ・リラクゼーションの原価率は5〜10%程度です。 オイル、ジェル、ペーパーショーツなどの消耗品が主な原価となります。

  • 高級化粧品を使用するコースでは数値が上がる

  • リネン類のクリーニング代を原価に含めるかで変動する

リラクゼーション効果などの「目に見えない価値」を提供する側面が強いため、他業種に比べて価格設定の自由度が高い点も特徴です。商材の質にこだわりつつ、高い利益率を維持する工夫が求められます。

原価率は適正なのに「利益が出ない」サロンの正体

材料費を適正な範囲に抑えているにもかかわらず利益が残らない場合、原因は「材料費以外の固定費」や「生産性の低さ」にあります。以下で詳細を解説します。

材料費(原価)よりも「人件費」が経営を圧迫している

サロン経営における最大の経費は人件費であり、一般的に売上の40〜50%が目安とされています。材料費と人件費を足した「FLコスト」が売上の60%を超えている場合、構造的に利益を出しにくくなる傾向があります。

人件費率が高騰する主な原因は、給与水準の問題だけでなく、売上に対してスタッフ数が過剰であることや、スタッフ一人あたりの売上高が低いことにあります。単純に給与を削減することは離職やサービス低下のリスクを伴うため、まずはスタッフの稼働効率を高め、人件費率を適正範囲に収めるアプローチが必要です。

「見えないコスト」=廃棄ロスや在庫過多を見落としている

帳簿上の原価計算に含まれない「廃棄ロス」や「過剰な在庫」は、キャッシュフローを悪化させます。仕入れた商材が売上に貢献せず破棄されることは、そのまま利益の損失を意味します。

アイラッシュサロンの例

グルーなどの商材は、開封後に数ヶ月で使用期限を迎えるため、使い切れずに破棄するコストが発生しやすい。

ネイルサロンの例

トレンドが過ぎたカラーやパーツが、使用されないままデッドストックとして滞留する。

仕入れ単価を抑えるために大量発注を行っても、廃棄が発生すればトータルの原価は高くなります。在庫の回転率を把握し、必要な分をこまめに発注する体制が大切です。

稼働率が低い

稼働率とは、スタッフの勤務時間に対して、実際に施術を行っている時間の割合です。

計算式 = 施術時間 ÷ 勤務時間 × 100

固定給を採用している場合、接客をしていない「空き時間」も人件費が発生し続けます。家賃も同様に固定費として発生するため、稼働率が低い状態では売上が上がらず、固定費の比率だけが高まります。

安定した経営を目指すうえで、集客施策と予約管理を徹底し、スタッフの空き時間を最小限に抑えるのが有効です。

値付けが時間に対して安い

メニューの価格が、施術にかかる時間に見合っていないケースです。

例えば、6,000円のメニューで施術に120分(2時間)かかる場合、1時間あたりの売上は3,000円です。一方、4,000円のメニューが45分(0.75時間)とすれば、時間生産性は約5,333円となります。

同じ1日の稼働時間でも、時間あたり売上が低いメニュー構成だと総売上が伸びにくくなることがあります。サロン経営では単に稼働時間を埋めるだけでなく、限られた時間でいかに高い売上を確保するかが重要です。

集客効率が悪い

新規顧客に依存した集客スタイルは、広告費の負担を増大させます。一般的に、新規顧客を獲得するためのコストは、リピーターを再来店させるコストの数倍かかるとされています。高い広告費をかけて新規客を呼んでも、リピートに繋がらなければ常に広告を出し続ける必要があり、利益の多くが広告費に消えてしまいます。

自店の収益構造が健全かチェックする4つのポイント

サロンの利益を最大化するには、感覚的な経営から脱却し、数値を基に現状を分析する必要があります。自店の収益構造が健全かチェックするための4つのポイントを紹介します。

1.固定費(家賃・広告費)は売上の何割か

サロン経営の支出は、売上の増減に関わらず発生する固定費と、売上に連動する変動費に分かれます。利益を圧迫しやすい固定費のなかでも、家賃と広告費の比率は特に重要です。

家賃の目安

売上の10%以内がおすすめです。月の売上が100万円であれば10万円、200万円であれば20万円が適正な家賃の上限です。家賃は一度契約すると削減が困難なため、現在の家賃が売上に対して重すぎる場合は、客単価の向上や稼働率の引き上げによって売上の分母を増やす対策をしましょう。

広告費の目安

売上の5〜10%がおすすめです。広告費をかけても新規客が定着せず、リピーターが増えない場合は、広告媒体の選定や掲載内容に問題がある可能性が高いです。媒体ごとの予約数やCPA(顧客獲得単価)を算出し、投資対効果の低い広告は削減を検討しましょう。

2.損益分岐点を把握しているか

損益分岐点とは、売上と経費が相殺され、利益がゼロになる売上高のラインです。この数値を把握していないと「毎月いくらの売上を目指すべきか」という目標設定が曖昧になります。

損益分岐点は以下の式で算出します。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 - 変動比率)

  • 変動比率 = 変動費(材料費など)÷ 売上高

正確に算出するには、すべての経費を固定費(人件費、家賃、光熱費など)と、変動費(材料費、決済手数料など)に厳密に分けます。

このラインを基準として、最低限必要な来店客数や客単価を逆算し、具体的な営業計画を立てます。

3.スタッフ1人あたりの売上は十分か

サロン全体の売上だけでなく、スタッフ個人の売上を可視化することで、人件費とのバランスや稼働状況をより正確に把握できます。

算出方法は、サロン総売上をスタッフ数(月間)で割る一般的な形式です。

一部の業界事例では、1人あたりの月間売上が50〜60万円前後を目安とするケースもありますが、この値は立地や客単価、施術内容などによって変動します。

スタッフ1人あたりの売上が低い場合、稼働率や時間当たりの売上単価に改善余地がある可能性があります。個々の生産性を把握することで、技術教育やメニューの見直しといった改善策に結びつけやすくなります。

4.「リピート率」が低く、新規集客コストがかかりすぎていないか

新規顧客の獲得コストは、既存客に再来店してもらうコストの数倍かかるといわれています。リピート率が低い状態で新規集客に注力し続けることは、収益性を著しく低下させる要因です。

利益率を高めるには、新規集客への依存を減らし、既存顧客の定着率を上げることが最短ルートです。リピート率が低い場合は、以下の3点に問題がないか検証してください。

  • カウンセリングの質

    顧客の悩みや希望を正確に汲み取り、期待を超える提案ができているか。

  • 接客・院内環境

    技術以外の部分(言葉遣い、清掃状態、BGMの音量など)で不快感を与えていないか。

  • 再来店の動機付け

    次回来店の目安を伝える「次回予約」の案内や、アフターフォローの連絡を徹底しているか。

再来店のきっかけを仕組み化し、広告費に頼らずに予約が埋まる構造を目指すことが、健全な収益基盤につながります。

原価率と利益率を改善する3つのアプローチ

利益率は売上に対して、どれだけ利益が残っているかを示す指標です。一方、原価率は売上に対して、材料費などの原価がどれだけ占めているかを表します。原価率と利益率を改善するには、売上を増やす前に損失が出ている構造を断つことが欠かせません。ここでは、サロン経営で優先度の高い3つの改善ポイントを解説します。

Step1 まず“損しているメニュー”を特定

最初に見直すべきは、材料費と在庫管理です。シャンプー、トリートメント、カラー剤、ネイルジェルなどを感覚で発注している場合、原価は簡単に膨らみます。

在庫管理が不十分だと、次のような状態に陥りがちです。

  1. 使い切れない材料が溜まり、資金が在庫に寝ている

  2. 欠品によって緊急発注が増え、仕入単価が上がる

  3. 使用期限切れや廃棄によるロスが発生する

対策として重要なのは、実在庫を数値で把握することです。使用頻度の低い商材は最小ロットに抑え、先入れ先出しを徹底します。これだけでも、不要な原価流出は減ります。

Step2 次に“空き時間”を減らす

原価には材料費だけでなく、施術時間も含まれます。長時間かかるわりに利益が残らないメニューは、構造的に損を生みやすいです。

チェックすべき視点は次のとおりです。

  • 施術時間あたりの売上はいくらか

  • 工程を簡略化できる部分はないか

  • 価格と作業量が見合っているか

時間単価が高いメニューほど、利益は安定します。短時間・高単価の設計を意識することで、同じ稼働時間でも収益性は変わります。

Step3 最後に“単価と店販”で粗利額を増やす

サロンは、1日に対応できる客数が限られています。そのため、利益を伸ばすには客単価を上げる設計が不可欠です。具体的には、以下の方法が現実的です。

  • 既存メニューにオプションを組み合わせる

  • 顧客の状態に合わせて、必要な施術を追加提案する

あわせて検討したいのが店販です。施術で使用した商材を販売できれば、施術時間を増やさずに粗利を積み上げられます。コスト削減には限界があるため、単価アップと店販による粗利拡大が、利益改善につながります。

サロン経営の効率化と集客の仕組み化なら「STOREPAD」

日々の原価管理や利益改善に取り組むなかで、事務作業や集客対応に追われ、肝心の経営分析に時間が割けないケースは少なくありません。

「STOREPAD」は、こうした課題を解決するために予約・集客・顧客管理を一元化するツールです。ホットペッパービューティーやInstagramなど、複数媒体の情報を一括で更新できるため、媒体ごとにメニューを編集する手間を省き事務作業を効率化し、生産性を高める環境づくりをサポートします

また、AIによる口コミ返信の自動作成機能など、時間がかかりがちなルーチンワークを効率化する仕組みも備わっています。

現場の負担を減らしながら、利益率の高い健全な店舗運営を目指すための手段として、STOREPADの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

お役立ち資料

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    監修者プロフィール

    遠藤 啓成(Endo Hiromasa)

    イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。

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