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外国人観光客による経済効果|最新動向と今後の課題・対策方法について解説 

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2024年の訪日外国人の旅行消費額は約8.1兆円に達し、そのうち飲食費だけで1兆6,000億円を占めるとされています。一方で、日本人による国内旅行の需要は回復が遅れており、多くの飲食店や小売店は「インバウンド需要の取り込み」が今後の経営を左右する状況です。

ただし、誤った施策を行えば外国人観光客を獲得できないばかりか、既存の国内顧客からの支持を失うリスクもあります。本記事では、外国人観光客がもたらす経済効果とその背景、インバウンド対策の重要性、そして具体的な取り組み方法を解説します。


※■POINT※

・外国人観光客の観光支出額は2024年に過去最高を記録し、今後も伸びると予測されている

・インバウンド需要を取り込むことが重要であるとともに、「持続可能な観光産業」の実現が求められている

外国人観光客がもたらす経済効果

まずは、外国人観光客がもたらす経済効果について、以下3点を確認しましょう。

  • インバウンド消費額は増加を続けている

  • 消費額の半数以上を占める東アジア地域

  • 一人当たりの支出額が高い欧米諸国

インバウンド消費額は増加を続けている

コロナ禍で大幅に減少した訪日需要は急速に回復し、2024年の外国人旅行者による消費額は過去最高の8.1兆円を記録しました。2019年と比べて、43.3%増という大幅な伸びです。

参考:観光庁「訪日外国人の消費動向」

また、国土交通省「第Ⅰ部 観光の動向」によると、日本の2023年の国際観光収入は386億米ドルにのぼり、世界で10位、アジアで1位という結果も出ています。

経済全体への影響はGDPにも表れています。実質GDP成長率はコロナ禍で一時マイナスに転じたものの、インバウンド回復を背景に再びプラス推移になりました。

地域経済や中小事業者への波及効果は今後さらに拡大する見込みです。

日本の実質GDP成長率

2018年

+0.6%

2019年

-0.4%

2020年

-4.2%

2021年

+2.7%

2022年

+1.2%

2023年

+1.7%

参考:国土交通省「第Ⅰ部 観光の動向」

消費額の半数以上を占める東アジア地域

観光庁「訪日外国人の消費動向」の調べでは、2024年におけるインバウンド消費額の半数を「中国」「韓国」「台湾」「香港」が占めています。

国名

インバウンド消費額(2024年)

中国

17,265億円(21.2%)

韓国

9,602億円(11.8%)

台湾

10,897億円(13.4%)

香港

6,606億円(8.1%)

合計

44,370億円(54.5%)

参考:観光庁「訪日外国人の消費動向」

東アジア地域の訪日外国人が多いのは、主に以下の理由が考えられます。

  • 円安の影響で日本への旅行が割安になった

  • 地理的に近く、短時間でアクセスしやすい

  • ビザの緩和により、日本への旅行がしやすくなった

一人当たりの支出額が高い欧米諸国

一方で注目すべきは「欧米からの旅行者」です。2024年の一人当たり支出額は以下のとおりです。

国名

一人当たりの支出額(2024年)

イギリス

38.1万円

オーストラリア

38.0万円

スペイン

36.8万円

フランス

36.0万円

イタリア

35.8万円

ドイツ

33.3万円

アメリカ

33.1万円

参考:観光庁「訪日外国人の消費動向」

欧米の旅行者は2週間以上の長期滞在が多く、宿泊・食事・文化体験に積極的にお金を使います。全体の人数では東アジアに劣りますが、一人あたりの経済効果が高いため、効率よく利益を確保できるターゲットです。

外国人観光客の消費動向と今後

インバウンド市場を長期的に伸ばすには、外国人観光客の消費行動の変化と課題を正しく理解することが欠かせません。ここでは注目すべき3つのポイントを整理します。

  • モノ消費→コト消費への遷移

  • インバウンド消費は今後も拡大基調

  • インバウンド需要の高まりにともなう社会課題

モノ消費→コト消費への遷移

かつての訪日ブームを象徴する「爆買い」は、家電やブランド品といったモノ消費が中心でした。しかし現在は、日本文化を体験するコト消費が主流になっています。

コト消費が拡大した背景

  • 物質的な豊かさが満たされ、モノでは満足しづらくなった

  • SNSやYouTubeで「体験の共有」が価値を持つようになった

  • 自国では得られない“非日常体験”を求める傾向が強まった

具体的には、以下のような分野でコト消費が広がっています。

  • 和食や寿司づくり体験

  • 茶道や書道などの伝統文化体験

  • 地域特有のアクティビティ(温泉、農業体験、祭り参加など)

飲食店であれば、単に料理を提供するだけでなく「食文化の背景を伝える」「調理過程を一部体験させる」といった工夫が集客につながります。

インバウンド消費は今後も拡大基調

JTB総合研究所の調査では、台湾人の77.4%、アメリカ人の53.6%が「1年以内に再訪したい」と回答しています。また観光庁の「観光立国推進基本計画(第4次)」によると、政府は2030年までにインバウンド消費額15兆円を目標に掲げています。

この成長の背景には、次のような構造要因があります。

  • 円安による旅行コストの割安化

  • 治安・インフラ・清潔さへの国際的評価

  • ビザ緩和や交通インフラ整備の進展

観光客の満足度も総じて高く、リピーター率の上昇が市場安定化に寄与しています。一方で、企業や自治体の対応が遅れれば、潜在的な売上機会を逃すリスクも生まれます。

インバウンド需要の高まりにともなう社会課題

観光客の増加は経済的利益をもたらす一方で、地域社会との摩擦や運営課題も浮き彫りになっています。

オーバーツーリズム

オーバーツーリズムとは、観光地が許容範囲を超えて混雑し、地域の生活環境に悪影響を及ぼす状態を指します。代表的な事例として、以下が挙げられます。

各地域の事例

北海道美瑛町

私有地に無断で侵入、道路の真ん中で写真を撮るなど

京都市

観光地の過度な混雑により、スムーズな観光や住環境に影響

奈良県

観光客の集中による混雑やごみ問題、奈良公園のシカに禁止行為など

参考:国土交通省「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり」

これらの問題は「観光客嫌悪」を招き、地域のブランド価値を損なう恐れがあります。そのため、混雑分散・マナー啓発・地域連携を軸にした持続可能な観光設計が急務です。

コミュニケーションの壁

国土交通省が実施したアンケート調査で、「訪日外国人全体の13.4%が、コミュニケーションに困難を示している」ことが明らかになりました。特に飲食店や小売店での不便さが指摘されています。

効果的な対応策は次の通りです。

  • 多言語メニューや案内板の整備

  • ピクトグラムや写真による視覚的情報提供

  • 翻訳アプリ・AI通訳タブレットの活用

AI翻訳精度の向上により、人手不足の現場でも導入コストを抑えた多言語対応が可能になっています。

文化背景や価値観の多様化

宗教や文化に基づく食事制限、日常的なジェスチャーの違いなど、無理解はトラブルや不信感につながります。

食の配慮例

  • ムスリム:豚肉・アルコール禁止

  • ヒンドゥー教徒:牛肉禁止

  • ユダヤ教:特定の鳥類・魚類禁止

ジェスチャー例

  • 左手での食事提供(インド・中東では不浄)

  • OKサイン(フランスでは「無能」の意味)

  • ピースサイン(ギリシャでは侮辱表現)

こうした文化差を事前に理解し、スタッフ教育や案内表示に反映することで、摩擦を防ぎ信頼関係を築くことができます。

外国人観光客を受け入れる重要性

日本では少子高齢化の影響で人口減少が続き、国内需要だけでは市場の維持が難しくなっています。特に飲食・宿泊・観光関連産業が長期的に成長していくためには、外国人観光客の取り込みと多文化共生の視点が欠かせません。ここでは、経営面での主要なメリットを3つの観点から解説します。

客単価の底上げと経営の安定化

人口減少が進むなか、国内客だけに依存した経営には限界があります。訪日客を取り込むことで、新しい収益源を確保し、経営の安定性を高めることが可能です。

実施すべき施策

  • メニュー表の多言語対応(英語・中国語・韓国語など)

  • 食事制限への対応(ベジタリアン・ハラールなどを絵文字やアイコンで表示)

  • キャッシュレス決済の導入(クレジットカード、モバイル決済への対応)

まだ十分に対応できていない店舗も多いため、取り組むだけで大きな差別化につながります。

雇用の創出と地域活性化

観光客を受け入れるために飲食店・宿泊施設・交通事業者の需要が高まり、新たな雇用が生まれます。例えば北海道ニセコエリアでは、外国人観光客の急増に伴い飲食・宿泊業を中心に雇用が拡大しています。

また観光客がもたらす税収は、道路や公園整備といった公共インフラの充実にもつながり、地域全体の住みやすさ向上に貢献するでしょう。人口減少で雇用機会が失われがちな地方ほど、この効果は大きく、地域の持続可能性を高める重要な要素となります。

口コミマーケティングの強化

外国人観光客は旅行体験をSNSや動画サイトで発信する傾向が強く、その情報は次の旅行者の意思決定に直結します。

観光庁の調査によると、訪日前の情報源としてSNS(38.9%)、動画サイト(38.1%)、個人ブログ(24.9%)、知人の紹介(18.7%)が上位を占めています。

つまり、一度満足度の高い体験を提供できれば、口コミ・紹介が次の集客につながる「循環型の集客モデル」を構築できます。Googleマップの口コミやInstagram投稿が来店動機になるケースも増えており、広告費をかけずに集客効果を高められる点は大きなメリットです。

「持続可能な観光産業」のためにできること

インバウンド需要を一時的な利益で終わらせず、地域と共存しながら長期的に発展させるためには「持続可能性」を意識することが不可欠です。

特に重要なのは次の4点です。

  • オフピーク施策を推進する

  • 地域内での連携を強化する

  • 異文化をリスペクトしながらマナーを啓発する

  • 定型業務のデジタル化を進める

オフピーク施策を推進する

観光客が特定の時期や場所に集中すると、混雑や安全性低下、住民との摩擦が起こります。オフピーク施策はこうした課題を防ぐ方法です。

具体的な施策例は以下です。

  • 価格変動制(ダイナミックプライシング)の導入

  • 平日や夕方限定のパッケージプラン提供

  • SNSや公式サイトでリアルタイム混雑状況を発信し、来訪時期を分散化

観光客は快適に旅行でき、事業者も閑散期の稼働率を高められます。

地域内での連携を強化する

持続可能な観光産業のためには、地元住民・地方自治体・観光事業者の協力が不可欠です。

  • 地元住民:訪日旅行者へのマナー啓発活動(行政の巡回指導には限界があるため)

  • 地方自治体:地元住民の声に耳を傾け、地域の実情に応じた対策をする

  • 観光事業者:観光地の混雑状況の可視化・オフピークに誘導するプランを導入

また、一部の地方自治体では観光税・宿泊税を導入しており、そこで得た税収を観光地の整備やインフラ整備などに活用しています。地域ぐるみの結びつきを強めることで、不満やすれ違いの発生を未然に防げます。

異文化をリスペクトしながらマナーを啓発する

国や文化が違えば、常識や価値観も異なります。訪日客の母国では許容される行為が、日本では迷惑行為にあたるケースも少なくありません。

観光庁が公開している「未来のための旅エチケット」では以下のようなルールが示されています。

  • 文化財を大切に扱う

  • 混雑を避けて快適に観光する

  • 地元の産品を選び地域を応援する

これらを多言語・ビジュアル化して伝えることが、摩擦を減らす効果的な方法です。リスペクトの姿勢を持ちながら啓発を進めることが重要です。

定型業務のデジタル化を検討する

人手不足が進む中、定型業務をデジタル化することで、インバウンド対応にリソースを割けるようになります。

  • 在庫管理システムで廃棄ロスを削減

  • POSシステムで会計を効率化

  • SNSで多言語情報発信し認知度を拡大

デジタル化により業務負担が軽減され、質の高い顧客体験の提供に集中できる環境を整えられます。

インバウンド需要の取り込みに「STOREPAD」

訪日外国人の多くは、SNSや口コミサイトを通じて訪問先の情報を収集しています。そのため、複数の媒体を活用した情報発信は、インバウンド対策に欠かせません。しかし、媒体ごとに内容を更新・管理するのは手間がかかり、現場の大きな負担になりがちです。

そこで役立つのが、イクシアス株式会社が提供するDXツール「STOREPAD」です。一つのダッシュボードから複数媒体へ効率的に情報を発信でき、さらに以下のような機能を備えています。

  • 口コミの一括表示・管理:Googleや食べログ、Instagramなどに投稿された口コミをまとめて確認可能

  • 自動翻訳機能:外国人観光客からの声にスムーズに対応できる

  • 幅広い媒体との連携:SNSや地図サービス、飲食・宿泊系ポータルサイトまでカバー

飲食店や宿泊施設はもちろん、小売・観光関連など幅広い業種で導入が進んでいます。「多言語対応を強化したい」「SNSを効率よく運用したい」と考える方にとって、心強い選択肢になるはずです。


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    監修者プロフィール

    折川 穣(Jo Orikawa)

    IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/

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