
口コミには、商品やサービスへの評価だけでなく、店舗運営を改善するヒントも含まれています。
こうした顧客の声は、Googleマップや口コミサイト、SNSなど、さまざまな場所に投稿されています。口コミを分析すれば、店舗の強みや顧客が感じている不満を知ることができます。
この記事では、口コミ分析のメリットや具体的な手順、ツールの選び方、分析結果を店舗運営に活かす方法を解説します。
口コミ分析とは、SNSや口コミサイト、Googleマップなどに投稿された顧客の評価や意見を集め、傾向や課題を明らかにする手法です。
例えば、飲食店で「料理はおいしいが、提供までの時間が長い」という口コミが多ければ、料理は評価されている一方、提供時間に課題があると考えられます。
口コミには、店舗側が予想していなかった評価や不満が書かれていることがあります。
アンケートやインタビューとは異なり、口コミには顧客が自発的に投稿した意見が集まるためです。
ただし、口コミには強い満足や不満を感じた人の意見が集まりやすく、顧客全体の評価を表しているとは限りません。売上データやアンケート結果などと組み合わせて判断する必要があります。
口コミ分析には、顧客のニーズ把握から店舗運営の改善まで、主に5つのメリットがあります。
美容室で「希望どおりの髪型になった」という口コミが多ければ、施術技術が強みと考えられます。一方、「料金がわかりにくい」という声が目立つ場合は、料金表示や事前説明に課題があるかもしれません。
飲食店で「料理の味はよいが、量が少ない」という意見が多ければ、提供量や価格とのバランスを見直すきっかけになります。
飲食店で「注文してから料理が届くまで時間がかかる」という声が多ければ、注文受付から調理、提供までの流れを見直します。
クリニックで待ち時間への不満が目立つ場合は、予約枠の設定や受付時の案内方法などが改善の対象になります。
例えば、近隣の飲食店では「価格が手頃」という評価が多く、自店舗では「接客が丁寧」という声が多い場合、接客品質を自店舗の強みとして打ち出すことが考えられます。
ただし、口コミ件数や投稿者の傾向は店舗によって異なるため、平均評価だけで優劣を判断することは避けます。
駅前の店舗では「提供が早い」、住宅街の店舗では「家族で利用しやすい」という評価が多い場合、それぞれの特徴を店舗の情報発信に活かせます。同じチェーンでも特定店舗に接客への不満が集中していれば、スタッフの対応や接客体制を確認します。
口コミはSNSや口コミサイト、Googleマップなど、さまざまな場所に投稿されています。媒体ごとに特徴が異なるため、分析の目的に合わせて収集先を選びます。
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSには、商品やサービスを利用した感想が投稿されています。
Xでは文章による感想、InstagramやTikTokでは写真・動画を伴う投稿が多く見られます。新メニューの発売後に店舗名や商品名で検索すれば、味や見た目、価格に対する反応を調べられます。
ただし、非公開の投稿など、閲覧・収集できない情報もあります。
食べログやホットペッパーグルメなどの口コミサイトには、飲食店や美容室など、業種に特化した評価が集まっています。
星評価やコメントから、商品・サービスの品質や接客、価格への評価を確認できます。競合店舗との比較にも活用できますが、サイトによって評価項目や点数の算出方法が異なるため、単純な比較には注意が必要です。
5ちゃんねるやYahoo!知恵袋、Redditなどでは、商品やサービスについて利用者同士が意見を交わしています。
質問や投稿を調べると、購入前の疑問や利用時の不満が見つかることもあります。ただし、匿名の投稿には事実関係が不明な情報も含まれるため、内容の信頼性には注意が必要です。
企業の公式サイトやブログにも、商品レビューやコメントを通じて顧客の声が寄せられます。
例えば、ECサイトの商品レビューには、使用感や品質、配送への評価が含まれています。また、問い合わせ内容を分析すれば、顧客が迷いやすい点や、説明が不足している情報も見つかります。
問い合わせは一般公開される口コミとは異なりますが、顧客のニーズを知るための情報として活用できます。
Googleビジネスプロフィールの口コミは、Google検索やGoogleマップに表示され、来店や予約を検討するユーザーの判断材料になります。
星評価だけでなく、接客、価格、待ち時間、清潔さなどに関するコメントから、店舗の強みや課題を確認できます。
複数店舗を運営している場合は、店舗ごとの評価や口コミ内容を比較することで、共通する課題や特定店舗の問題を見つけられます。
じゃらん、楽天トラベル、Booking.comなどの宿泊予約サイトには、ホテルや旅館を利用した宿泊者の評価が集まっています。
清潔さ、接客、立地、設備などの項目別評価が設けられている場合もあり、宿泊者がどこに満足し、不満を感じているかを確認できます。
例えば、客室の清潔さへの評価が低ければ、清掃体制や設備の状態を見直すきっかけになります。
口コミ分析は、次の5つの手順で進めます。
分析の目的と対象を決める
口コミを収集・整理する
口コミを項目別に分類する
評価やキーワードの傾向を分析する
分析結果から改善課題を抽出する
最初に、口コミから何を知りたいのかを明確にします。
例えば、飲食店なら「接客への不満が増えていないか」、美容室なら「施術やカウンセリングのどこが評価されているか」といった目的が考えられます。
次に、分析する媒体・期間・店舗を決めます。「直近3か月のGoogleマップの口コミ」「特定店舗の前年との比較」など、目的に合わせて対象を絞ります。
Googleマップや口コミサイト、SNSなどから投稿を集め、ExcelやGoogleスプレッドシートに整理します。
記録する項目は次のとおりです。
項目 | 記録する内容 |
投稿日 | 口コミが投稿された日付 |
媒体 | Googleマップ、口コミサイト、SNSなど |
店舗名 | 口コミの対象となる店舗 |
評価 | 星評価など(評価がある場合) |
口コミ本文 | 投稿された意見や感想 |
分類 | 接客、価格、品質、待ち時間など |
評価傾向 | ポジティブ・ネガティブ・中立 |
媒体によって取得できる情報や利用条件は異なります。自動収集ツールの利用やデータの転載については、各サービスの利用規約を確認してください。
集めた口コミを、接客・価格・品質・待ち時間などの項目に分類します。
例えば、飲食店なら次のように整理できます。
口コミの例 | 分類 | 評価傾向 |
料理がおいしく、量も十分だった | 料理 | ポジティブ |
注文してから料理が届くまで長かった | 待ち時間 | ネガティブ |
スタッフの説明が丁寧だった | 接客 | ポジティブ |
店内はきれいだが、席が狭かった | 清潔さ・設備 | ポジティブ・ネガティブ |
※分析方法を説明するための架空の口コミです。
「店内はきれいだが、席が狭かった」のように、1件の口コミに複数の評価が含まれる場合は、項目ごとに分けて記録します。
分類した口コミを集計し、どの項目が多く話題になっているか、どのような評価が集まっているかを調べます。
主な分析項目は次のとおりです。
口コミ件数:対象期間に投稿された件数
評価の分布:星1〜5などの評価が占める割合
項目別の言及件数:接客、価格、待ち時間などが話題になった回数
ネガティブな意見の割合:項目ごとの不満の多さ
時系列の変化:前月や前年との評価・件数の違い
例えば、ある飲食店の口コミ100件を分析したとします。
分析項目 | 言及件数 | うちネガティブ |
料理 | 60件 | 8件 |
接客 | 45件 | 12件 |
待ち時間 | 35件 | 28件 |
価格 | 25件 | 10件 |
※架空の集計例です。1件の口コミに複数の項目が含まれるため、合計は100件を超えます。
この例では、待ち時間への言及35件のうち28件がネガティブで、不満が集中しています。一方、料理は60件のうちネガティブな意見が8件にとどまり、店舗の強みになっている可能性があります。
先ほどの飲食店では、待ち時間への不満が集中していました。提供時間や混雑状況を確認し、原因に応じて改善策を検討します。
分析で見つかった課題 | 確認すること | 改善策の例 |
料理の提供が遅い | 注文から提供までの時間 | 調理・配膳の流れを見直す |
混雑時の案内が不足 | 待ち時間の案内状況 | 目安時間を事前に伝える |
特定の時間帯に不満が集中 | 時間帯別の混雑状況 | 人員配置や予約枠を調整する |
口コミだけで原因を決めつけず、現場の状況や業務データも確認したうえで改善策を選びます。
改善後は、同じ不満が減っているかを継続して確認します。
口コミを分析する手順は共通していますが、媒体によって注目する情報が異なります。
媒体 | 主な分析ポイント |
X(旧Twitter) | 店舗名・商品名への言及、投稿内容、話題の変化 |
Instagram・TikTok | 写真・動画の内容、言及されている商品やサービス |
口コミサイト | 星評価、評価項目、競合店舗との違い |
Googleマップ | 星評価、口コミ本文、接客・価格・待ち時間などの評価 |
宿泊予約サイト | 清潔さ、接客、立地、設備などの項目別評価 |
Xでは、店舗名や商品名などで検索し、期間を絞って投稿内容を調べます。
Googleマップでは、星評価と口コミ本文を組み合わせ、評価が高い理由や不満の多い項目を確認します。
口コミの件数が少なければ手動でも分析できますが、対象媒体や店舗が増えると、収集・分類・集計の負担が大きくなります。
比較項目 | 手動分析 | ツールを使った分析 |
費用 | 既存の表計算ソフトなどで始められる | 有料サービスでは利用料金が発生する |
口コミの収集 | 担当者が各媒体を確認する | 対応媒体の収集・集約を効率化できる |
分類・集計 | 手作業で整理する | 対応機能により自動化できる |
継続的な分析 | 件数や店舗数が増えると負担が大きい | 定期的な確認・比較を行いやすい |
複数店舗の比較 | 店舗ごとにデータをまとめる | 対応ツールではまとめて確認できる |
※対応媒体や分析機能はツールによって異なります。
手動分析は、専用ツールを導入せずに始められます。口コミを1件ずつ読み、細かなニュアンスを確認できる点もメリットです。
一方、複数の媒体や店舗を扱う場合は、投稿の収集や分類に時間がかかります。担当者によって分類方法が異なると、店舗間の比較も難しくなります。
ツールによっては、店舗別の評価推移や口コミ内容を一覧で確認できます。本部担当者が各店舗の状況を調べる際、管理画面を個別に開く手間を減らせます。
AIを使えば、大量の口コミから「待ち時間」「接客」「料金」などの話題を抽出したり、投稿をポジティブ・ネガティブに分類したりできます。
ただし、文脈を正確に読み取れない場合もあります。
例えば「料理はおいしかったが、もう行かない」という口コミには、料理への高評価と、再来店したくない理由の両方が含まれています。
AIの分析結果をそのまま採用せず、必要に応じて元の口コミを確認してください。
ツールの機能だけでなく、自店舗の運用に合っているかを確認します。
飲食店ならGoogleマップやグルメサイト、美容室ならGoogleマップや美容系予約サイトなど、自店舗で利用している媒体に対応しているか確認します。
口コミの閲覧だけでなく、収集・分析・返信まで対応できるかも比較するポイントです。
主な確認項目は次のとおりです。
口コミ件数や評価の推移を確認できるか
接客・価格・品質などの項目別に分析できるか
ポジティブ・ネガティブの傾向を把握できるか
店舗別・期間別の比較ができるか
分析結果をレポートとして出力できるか
AIによる感情分析やキーワード抽出を使いたい場合は、実際の口コミで分類精度を試すとよいでしょう。
口コミへの返信や対応状況の管理ができるかも比較します。
例えば、低評価の口コミを確認した後、そのまま返信や担当者への共有ができれば、対応漏れを減らせます。
複数店舗を運営している場合は、本部と店舗の間で対応状況を共有できる仕組みも役立ちます。
複数店舗を運営する場合は、本部と店舗で管理権限を分けられるか、未返信の口コミを店舗別に確認できるかも比較します。
月額料金だけでなく、初期設定や日々の管理にかかる手間も比較します。
例えば、料金が安くても、口コミの分類やレポート作成に手作業が多く残るなら、担当者の負担は十分に減りません。
料金体系、対象店舗数、サポート体制などを確認し、自社に合ったツールを選びます。
口コミ分析で見つかった課題は、口コミへの返信やサービスの見直し、Googleビジネスプロフィールの運用に活かせます。
口コミへの返信は、投稿した顧客だけでなく、来店を検討しているユーザーにも店舗の対応姿勢を伝える機会になります。
高評価の口コミには感謝を伝え、投稿内容に触れた返信を行います。低評価の口コミには、指摘された内容を確認したうえで、必要に応じて謝罪や改善に向けた対応を伝えます。
例えば、料理の提供時間について指摘された場合は、実際の状況を確認し、待ち時間の案内や提供体制を見直すことが考えられます。
ただし、事実関係が不明なまま店舗側の過失を認めたり、決まっていない改善を約束したりすることは避けます。また、返信には顧客の氏名や予約内容などの個人情報を含めないよう注意が必要です。
美容室で「施術前の説明がわかりにくい」という口コミが多ければ、カウンセリングの進め方や料金説明を見直します。
改善後は、同じ不満が減っているかを確認します。口コミに加えて、顧客アンケートなども参考にすると、改善の効果を判断しやすくなります。
口コミで寄せられた疑問や要望をもとに、Googleビジネスプロフィールの掲載情報を見直します。
口コミからわかったこと | Googleビジネスプロフィールでの対応例 |
店舗の場所がわかりにくい | 店舗外観や入口の写真を追加する |
メニューや料金がわかりにくい | メニューやサービス情報を見直す |
営業時間に関する問い合わせが多い | 営業時間や特別営業時間を更新する |
店内の雰囲気が伝わっていない | 店内や設備の写真を追加する |
店舗の改善内容や新しいサービスについては、Googleビジネスプロフィールの投稿機能で発信することもできます。
「STOREPAD」は、Googleビジネスプロフィールや業界別の口コミサイトなど、複数の媒体に投稿された口コミを一元管理できる店舗向けサービスです。
AIによる口コミ分析では、投稿内容をポジティブ・ネガティブに分類し、店舗の強みや改善点を確認できます。また、AIによる返信文の作成や、多言語の口コミに対応する翻訳機能も備えています。
複数店舗の口コミをまとめて確認できるため、本部で各店舗の評価や対応状況を管理する際にも役立ちます。
口コミの一元管理やAIによる分析・返信支援など、STOREPADの主な機能を紹介しています。口コミ管理の効率化や、分析ツールの導入を検討している方におすすめです。
口コミ分析を始めるなら、まず直近の口コミを接客・価格・品質などの項目に分類し、不満が集中している点を調べてみてください。
複数店舗の口コミを継続的に管理する場合は、分析や返信にかかる手間を減らせるツールの導入も選択肢になります。
口コミの読み取り方や、分析結果を店舗改善に活かす方法を解説した資料です。
店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。
監修者プロフィール
遠藤 啓成(Endo Hiromasa)
イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。
