
外国人観光客の増加が続くなか、日本の観光業界では「何を求めて来日しているのか」を正しく理解することが求められています。茶道やアニメなどの文化体験、治安や清潔さといった快適さ、そして食や買い物体験──その期待は多岐にわたります。
一方で、言語や文化の違いから現場でトラブルが起こるケースも少なくありません。本記事では、外国人観光客が日本に求めるものの実態と、失敗事例から学べる効果的な対応策を紹介します。
※■POINT※
近年では「日本人目線での日本」を体験したい外国人観光客が増えている
外国人観光客への対応はツールなどを用いた仕組み化が重要

インバウンド需要を効果的に取り込むためには、外国人観光客の訪日目的を把握する必要があります。はじめに、外国人観光客が日本に求めるものの傾向について押さえておきましょう。
外国人観光客の多くは、伝統文化や日本独自の体験を目的に訪れます。茶道・着付け・歌舞伎・寺院での仏教体験など、日常では味わえない“本物の日本文化”に触れることを重視する傾向があります。アニメやマンガで日本文化を知り、「その世界を実際に感じたい」という思いから来日するケースも少なくありません。
四季の変化を楽しめる自然景観の鑑賞や、エンタ-テインメント性があってSNSで共有したくなるような”映える”体験も、日本旅行が人気である理由の一要素です。
これらは外国人にとって、普段の生活では味わえない「非日常で特別な体験」として、忘れがたい思い出となります。
外国人観光客は日本の日常生活の質の高さを賞賛しており、以下の点は国際的にも高く評価されています。
治安の良さ
ルールやマナーを重んじる国民性が関係しており、「周囲に迷惑をかけてはいけない」と心がける人も多いため、全体として治安が良い印象があるようです。
街中やトイレの清潔さ
非常に清潔で機能的と評価されています。また、「公共スペースは綺麗に使おう」という意識が日本社会に根づいており、ボランティアや清掃員による美化活動が行われているのも日本ならではです。
公共交通機関の正確性
定刻どおりにバスや電車が来るシステムは「約束の時間を守る」という日本独自の価値観や、鉄道会社の運行管理者、そして乗客のスムーズな乗車・降車によって支えられています。さらに交通機関が遅延した場合、駅構内放送で案内をしたり、SNSなどで呼びかけを行ったりすることは外国ではあまり見られない対応です。
社会インフラが充実している
24時間いつでも利用できる自動販売機やコンビニエンスストアがいたるところにあるため、深夜の買い物や緊急時のニーズに応えられます。
一方で、以下のような点を課題として挙げる観光客も多いです。
ごみ箱が少ない
案内表示が不十分
キャッシュレス決済対応店舗が少ない
言葉が通じない
Wi-Fi環境が少ない
混雑している
外国人観光客はこれらに不便さを感じているため、今後の観光ビジネスに反映されれば、より観光客の満足度を高められるでしょう。
日本旅行の楽しみとして、買い物と食文化の体験は欠かせません。免税や限定商品を目当てに来日する人も多く、漆器・扇子・こけしなどの伝統工芸品は人気を集めています。買い物そのものが「特別な思い出」となるのです。
食事については、お寿司やラーメンといった定番メニューはもちろん、繊細で栄養バランスの取れた和食への関心も高まっています。
さらに、日本の電化製品は「高品質で壊れにくい」と信頼されています。こうした日本独自の文化と技術を体感できる買い物や食事体験は、訪日観光の大きな魅力です。
外国人観光客の期待や文化との間に生じるギャップによって、店舗や地域が陥りやすい問題点もあります。多くの外国人が利用するホテル・飲食店・小売店の3業種を例に、よくある失敗とその解決策を見ていきましょう。
よくある失敗
コミュニケーション不足:言葉が通じないため要望やトラブルがうまく伝わらず、誤解が生じる。チェックイン時の予約内容確認ができず、宿泊客を混乱させる。
異文化への理解不足:各国の文化やマナー、習慣が分からず、対応に戸惑ったり不快感を与えたりしてしまう。
デジタル・決済手段の不備:主要なクレジットカードや電子決済に対応していないことで不便を感じさせる。
解決策
スタッフの研修と多言語表示の充実:英会話研修を実施し、各国の主要言語を話せるスタッフの育成に努める。また簡易的な筆談や翻訳ツール、案内表示や館内注意事項を導入し、多言語への対策を講じる。
異文化への理解と情報提供:各国の文化や価値観を理解し、また日本のマナーを守ってもらうため、外国人にとって分かりにくい情報を提供する。
多様な決済方法に対応:主要クレジットカードに加えてキャッシュレス決済を導入する。Wi-Fiのパスワードを多言語で作成・掲示し、無料で使えるようにする。
よくある失敗
情報提供不足:多言語のメニューがない、食文化や宗教上の配慮、アレルギー上の配慮など。情報提供が不十分だとトラブルに発展する。
コミュニケーション不足:注文ミス、提供遅れ、会計時の混乱など。外国語で適切に説明できないと信頼を損なう。
解決策
多言語・多様なメニューの準備:写真やイラストを使い、食材やアレルギー情報を分かりやすく表記する。ベジタリアン・ヴィーガン・ハラール対応メニューの導入の検討をする。多言語対応のモバイルオーダーシステムを導入して注文ミスを減らす。
店内の多言語表示の充実:ピクトグラムや図案化したものを設置して一目で分かりやすく伝える。
スタッフの研修:接客業でよく使う英語フレーズを覚える。翻訳ツールを導入し、コミュニケーションを円滑にする。
よくある失敗
言語の壁:商品説明が伝わらない。商品について質問したり、不明な点を解消したりすることが困難となる。免税処理の遅延や、スタッフ対応の不安が拭えない。
商習慣の違い:セルフレジが使いづらい。海外では開封済み商品でも無条件で返品できる場合がある。
マナー違反:店内を走り回る。商品をぞんざいに扱う。特に、購入していない飲食物を会計前に飲食したことによってトラブルへ発展することが多い。
解決策
スタッフの研修・多言語対応:商品名や使用食材など、主要な言語に対応した商品表示を設置する。またスタッフ間で免税手順を共有することで、スムーズな対応が可能となる。
売り場づくりの工夫:POPや商品説明タグに主要言語での情報提供を心がける。日本独自の商品を入口付近や目にとまりやすい箇所へ配置し、観光客の興味を引く。
マナー・ルールの明示:商品の取り扱い方、レジの並び方、返品方法などの詳細なポリシーを提示し、その習慣を伝える。
もし当事者だけでの解決が難しい場合は、相談窓口の利用を推奨します。

外国人観光客が感じる「快適さ」は、場所や状況によって異なります。たとえば、言語の壁をなくす「多言語対応」、Wi-Fi環境やキャッシュレス決済の整備を行う「利便性の向上」などが挙げられます。複数の「快適さ」を整備することで、安心感と満足度を高め、リピートにつなげることができます。
ここからは、特に重要な3つのポイントを紹介します。
接客においては、流暢な英語よりも「積極的に伝えようとする姿勢」が評価されます。
多くの外国人観光客は、完璧な文法よりも「理解しようとしてくれる誠意」に安心感を覚える傾向があります。
日本人に話しかける観光客は、不安や疑問を抱えているケースが多いため、精一杯の対応が信頼関係の構築につながります。言葉が通じなくても、笑顔やジェスチャーで伝えることで、好印象を与えられます。
外国人の接客をする際のポイントは以下のとおりです。
笑顔と丁寧な対応を心がける
片言でも気にせず話す
ジェスチャー、図、翻訳ツールなどを活用する
相手を理解しようとする姿勢を持つ
口コミやレビューは、外国人観光客にとっても店舗選びの主要な判断基準です。特にGoogleマップやTripAdvisorなどの国際的な口コミサイトでは、評価が集客に直結します。
口コミへの返信は、ブランド認知度の向上や、海外ユーザーへの信頼獲得に効果的です。古い口コミにも返信することで誠実な印象を与え、他の旅行者の意思決定にも影響を与えます。
口コミが果たす主な役割
情報収集の手段
サービス選択の判断材料
信頼性・安心感の確認
第三者視点の客観的な情報源
ネガティブな意見にも真摯に対応し、改善点として活かす姿勢を見せることが、リピーター増加とサービス品質向上の第一歩です。
日本の四季折々の自然美や地域文化を活用した体験は、外国人旅行者にとって大きな魅力です。旅行会社のなかには、それぞれの季節に合わせた観光資源や地域の行事を組み合わせたツアーを企画している会社もあり、効果的な誘客につながっています。
季節ごとの人気体験
春:お花見、いちご狩り、雛祭り、鯉のぼり
夏:お祭り、花火大会、流しそうめん、七夕
秋:紅葉狩り、山登り、お月見、きのこ狩り
冬:ウィンタースポーツ、温泉、初詣、節分
地域ごとの文化体験
北海道:アイヌ文化体験、漁業
東北:ねぶた祭り、和紙工芸体験
中部:合掌造り見学、忍者体験、鍛冶体験
関東:アニメ・マンガの聖地巡礼、お寿司作り、メイド喫茶
近畿:USJ、茶道体験、たこ焼きや抹茶などの食文化
中国:座禅、ご縁地蔵作り、平和記念資料館の訪問
四国:お遍路体験、阿波踊り
九州:はしご酒体験、SAMURAI-KYUSHUプロジェクト
沖縄:琉球硝子作り、シーサー作り、ユタ文化体験
東京スカイツリーや神社仏閣のような一般的な観光スポットとはちがい、観光客自身が主体的に深く関われることで、特別な体験として強く印象に残ります。
対応を仕組み化することは、持続可能な観光の推進や地域経済の活性化に寄与します。
多言語対応や多様な決済方法、案内表示の整備などを通じて、観光客が快適に過ごせる環境を整えると、国際競争力の強化や文化交流の促進につながります。
以下、仕組み化の中でも特に重視すべき2つのポイントを解説します。
外国人観光客への対応は、一部の語学力の高いスタッフに頼るのではなく、全員が一定の水準で対応できる仕組みが求められます。特定の従業員に負担が集中すると、サービス品質が属人化し、対応のばらつきが生まれやすくなります。
そのため、次のような取り組みが有効です。
多言語対応ツールや翻訳システムの導入
接客で頻出する基本フレーズの共有・マニュアル化
外国文化・宗教・マナーに関する社内研修の実施
言語だけでなく、文化や習慣を理解することでトラブルを防ぎ、外国人が安心して滞在できる環境を整えられます。
このようにサービス品質を均一化することが、ブランド信頼と店舗評価の向上につながります。
施設案内や公共交通機関の情報が十分に多言語対応していないと、観光客は不安を感じやすくなります。また、支払い手段が限られている、あるいはキャッシュレス決済に対応していない場所が多いことも課題です。クレジットカードやデビットカード、電子決済への対応を進めることは、今やインフラ整備の一環といえます。
加えて、多言語対応のSNSやローカルSEO(MEO)対策を講じて、観光客に向けた情報発信を強化することも重要です。文化や宗教への配慮を忘れず、海外OTAやTripAdvisorなどの旅行者向けプラットフォームに掲載することで、より多くの観光客がアクセスできるようになります。
複数のメディアを活用し、情報発信を統一的に行うことで、観光客にとって利用しやすい環境を提供できます。
Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなど、複数のメディアに合わせて管理をするのは骨の折れる作業です。そこで役立つのが、複数のメディアを統合して管理できる「STOREPAD」です。
「STOREPAD」には、以下のようなインバウンド向けのSNS運用に必要な機能がすべて揃っています。
多言語での投稿管理
複数SNSアカウントの一括運用
口コミ・レビュー対応
自動翻訳機能
特に自動翻訳機能は外国人からの口コミを翻訳してくれるだけでなく、店舗経営側が日本語で作成したコンテンツを各国の言語に変換できます。口コミ管理やMEO対策、分析機能も充実しており、インバウンド施策を総合的に支援します。
「STOREPAD」はSNSの運用負担を軽減しながら、インバウンド集客に強いSNS戦略を支援できるツールです。
ぜひこちらから資料をダウンロードして、外国人観光客を万全の体制でお出迎えしましょう。
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監修者プロフィール
遠藤 啓成(Endo Hiromasa)
イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。
