
訪日外国人観光客の増加により、「インバウンドツーリズム」が日本各地で注目を集めています。地域経済の活性化や国際的な文化交流を促進するインバウンドツーリズムは、多くの可能性を秘めていますが、その一方で、受け入れ環境の整備不足や観光地の混雑、自然環境への影響など、解決すべき課題も少なくありません。
本記事では、インバウンドツーリズムの概要や具体的なメリット、さらに課題とその解決策について詳しく解説します。観光事業に関わる方や地域活性化を目指す方に役立つヒントが満載です。
※■POINT※
・インバウンドツーリズムは増加傾向にある
・インバウンドツーリズム増加により課題も明らかとなっている
・インバウンドツーリズム課題解決のため、日本の文化や自然などに寄り添う工夫が大切

インバウンドツーリズムとは「訪日外国人旅行者による観光活動全般」を指す言葉です。まずは日本におけるインバウンドツーリズムの現状や具体例、増加の背景を説明します。
2024年10月のインバウンド数は約331万人と過去最高を記録し、1964年の統計開始以来、最速で累計3000万人を突破しました*1。また10月のデータを国・地域別でみると、韓国が最も多く約73万人、次いで中国の約58万人と台湾の約48万人で、日本に近いアジア圏からの旅行者が多くなっています。
*1出典:日本政府観光局「訪日外客統計(2024 年 10 月推計値)」
インバウンドツーリズムの具体例は以下のとおりです。日本の暮らしを体験してもらえるよう、それぞれの地域・企業が連携して実施しています。
食文化体験:地元食材を使った郷土料理の調理や実食
伝統的な旅館での宿泊:和室での暮らしや温泉の体験
日本文化の体験:茶道や書道、着物の着付け体験
自然体験:温泉地や山岳地帯でのアウトドア活動
最新テクノロジーを活用した体験:VRを用いた観光地や博物館の案内
地域祭りやイベントへの参加
歴史的建造物の見学と体験
地域特有の工芸体験
アニメ・ポップカルチャー体験
地方農村での滞在型体験
インバウンドツーリズムが増加した背景は、主に以下の2つが考えられます。そのほか中国や東南アジア諸国の経済成長や、台湾の日本に対する興味や好感の高まりも理由の1つです。
(1)日本政府によるグローバル観光戦略
日本国内での旅行消費を拡大し、観光関連産業の振興や雇用の増大を実現するため、日本政府は2002年12月に「グローバル観光戦略」を策定しました。2007年1月からは「観光立国推進基本法」の施行とともに観光庁を設置しています。これまでビザ要件の緩和や免税措置など、官民一体となってさまざまな振興策が実施されてきました。
その結果、インバウンド数は2013年以降に急増しています。日本政府は、2030年までにインバウンド数6000万人達成を目標に掲げています。
(2)日本文化に対する関心の高まり
近年はSNSやインターネットを通じて、日本のさまざまな情報が発信・共有されるようになりました。とくにSNSでは画像や動画などユーザーの興味を引くコンテンツを発信できるほか、ハッシュタグを活用すれば全世界に各地域の魅力をアピールできます。その結果、日本文化に対する海外からの関心が高まり、インバウンドツーリズムの動きがより活発になったといえます。
インバウンドツーリズムが活発化すれば、以下2つのメリットが得られます。
経済効果が期待できる
地域活性化につながる
インバウンドツーリズムにより日本の魅力を体験してもらうなかで、宿泊費や交通費、お土産代などの消費支出が生まれます。観光庁の「インバウンド消費動向調査」によれば、2024年7〜9月期のインバウンド旅行消費額は1兆9480億円となっており、高い経済効果が期待できます。
インバウンドツーリズムを通して、外国人旅行客が地域の文化や生業に触れ、感動する姿を見ると、そこに住む人々は地域の魅力を再認識できます。その結果、誇りをもって仕事を続けられたり、ホテルや観光施設での雇用が増大したりと、地域活性化につながります。また文化の維持や保全が進むきっかけになるため、新たな魅力の誕生も期待できるでしょう。
インバウンドツーリズムが全国各地でおこなわれるようになると、メリットに加え以下4つの課題も明らかとなりました。
インバウンド依存による経済不安
日本の自然環境への影響
オーバーツーリズムによる支障
インバウンドの地域間格差
外国人旅行者数は、疫病や自然災害、外交問題などの外的要因によって大きく変動します。そのためインバウンドツーリズムでの消費支出に頼りすぎてしまうと、経済不安のリスクが生じるため注意しましょう。
日本は島国なので、外国人旅行客のほとんどが航空機を使って訪日します。しかしCO2を多く排出するため、環境への問題が示唆されています。現状では航空機自体の排出量を減らすのは難しいため、インバウンドツーリズム内でのCO2削減に向けた取り組みが求められます。
オーバーツーリズムとは、旅行客の増加にともない地域資源や住民の暮らしに支障をきたす状態を指します。たとえば大声で騒いだりごみを放置したりなど、日本のルールやマナーを守らない外国人旅行客の迷惑行為が、地域住民の大きな負担となります。また特定の観光地に人が集中して混雑や交通渋滞が発生すると、旅行客の満足度が低下するデメリットも生じます。
オーバーツーリズムの原因を細かく分析し、混雑緩和や規制、受け入れ態勢の整備やマナー違反行為の防止などに取り組みましょう。また地方部の魅力をアピールし、外国人旅行客が訪れる地域を分散するのも大切です。
外国人旅行客の訪問先が特定の地域に集中し、インバウンド需要の地域差が生じているのも課題の1つです。内閣府の調査によると、インバウンドツーリズムにおける2017年の外国人旅行者は、東京都や大阪府など関東・近畿の一部地域に集中しています*2。地域差をなくし地方のインバウンド需要を高めなければ、地方での雇用が増えず過疎化が進んだり、オーバーツーリズムを引き起こしたりする可能性があります。
*2出典:内閣府「地域・都道府県別インバウンド需要(水準)の推移」

インバウンドツーリズムの課題解決に向けた3つのポイントを紹介します。実際に計画を立てるときの参考にしてみてください。
エコツーリズムとは、自然環境や歴史文化の体験を通して、地域固有の魅力や価値を学んでもらう観光のあり方です。観光客は自然の美しさに気づき、地域住民は地元資源の価値を再認識できるため、保全活動の推進や地域活性化につながると考えられています。
エコツーリズムの内容は、観光地での登山やトレッキングツアー、ガイド付きのウォーキングツアー、ハイブリッド車のレンタルなどさまざまです。料金の一部が環境保護に用いられるケースもあります。
山梨県では、さまざまな法人や団体がエコツアーを実施しています。富士山や樹海などを巡りながら、動植物の生態系や地形、歴史や文化を体験しながら学べます。火口付近を見学したい方や、初めての富士山登頂に挑戦したい方など、さまざまなニーズに対応可能です。
オーバーツーリズムによる問題を防ぐため、地域住民の意見をもとに観光計画を立てましょう。
愛媛県大洲市では、人口減少にともなう景観保全地区をはじめとする町の荒廃が課題でした。そこで2018年に行政・民間・金融機関が連携協定を締結し、歴史的建造物を観光活用する際の費用を一部補助する制度を開始。また、市やNPO法人が主体となってイベントや清掃活動を進めながら、地元住民への参加を呼びかけました。結果、保全活動に対する理解が得られ、官民一体となって積極的な観光活用の取り組みが進められました。
2023年には、オランダの国際的な認証団体「グリーン・デスティネーションズ」から、持続可能な観光地として文化・伝統保存部門で世界1位に選ばれました。町は活気を取り戻し、新たな雇用の創出が生まれたうえ、国内外問わず注目が集まっています。
住民の理解や協力を得るためには、地域の魅力と課題を明らかにしたうえで、観光活用の内容やメリットをきちんと説明するのがポイントです。あわせて観光客に向けたマナーやルールの啓発活動にも力を入れ、言語や文化の違いを踏まえた上での相互理解を目指しましょう。
インバウンドツーリズムでの消費動向は、商品購入の「モノ消費」から、今しか経験できない瞬間の「トキ消費」へと変化しています。そのため、日本ならではの文化・歴史に触れられる体験型観光コンテンツに力を入れ、魅力をアピールしましょう。
地方ならではの魅力を見つけ、観光コンテンツに活用すれば、インバウンド需要の地域差を解消できます。食文化体験や古民家での宿泊体験、自然の中でのアクティビティ体験など、そこでしか体験できない内容がビジネスチャンスへとつながります。
インバウンドツーリズム実施にあたり、言語の違いによって情報発信や予約管理が難しく、お困りの方もいるのではないでしょうか。そんなときは「STOREPAD」の導入がおすすめです。
STOREPADとは、SNSや地図アプリなど、業界最多23媒体での情報発信から予約管理・来店促進まで、まとめて対応できるDXツールです。多言語モードを使えば投稿内容が自動でAI翻訳されるため、店舗や地域の魅力を幅広くアピールできます。
詳しい機能が知りたい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。また以下のお問い合わせフォームから申し込めば、電話やメールでの説明・相談も可能です。ぜひご活用ください。
今回はインバウンドツーリズムの概要やメリット、課題と解決のポイントを一挙解説しました。
インバウンドツーリズムは日本の経済効果や地域活性化を促進する一方で、オーバーツーリズムや地域格差など、いくつかの課題も抱えています。そのためエコツーリズムや体験型観光を推進したり、地域住民の意見を反映したりと、さまざまな工夫が必要です。
また言語の違いによるトラブル防止や、観光地の魅力アピールに向けて、STOREPADをはじめ多言語対応できるDXツールの活用も有効です。ぜひご検討ください。
>>インバウンドの意味とは?観光業界の経済効果と2030年6,000万人時代の展望
>>インバウンド成功事例5選──少人数でも“ツール活用”でSNS・口コミ・多言語対応を回し切る方法
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監修者プロフィール
遠藤 啓成(Endo Hiromasa)
イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。
