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外国人観光客によるトラブル事例|持続可能な観光産業に向けた対策方法を紹介 

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歴史的な円安や、ビザ発給の緩和などを背景に、日本を訪れる外国人旅行者は年々増えています。外国人旅行者の消費活動が国内に経済的な恩恵をもたらす一方で、文化・価値観の違いがトラブルに発展するケースも少なくありません。

インバウンド需要を取り込みたいものの、「マナー問題が不安」「受け入れ体制に自信がない」と感じている事業者も多いでしょう。本記事では、実際に起きているトラブル事例と、現場で活用できる対策方法を紹介します。


※■POINT※

・外国人観光客の増加にともない、オーバーツーリズムをはじめとした課題が発生している

・トラブルの発生を防ぐためには、異文化理解とマナー啓発の両立を図る

外国人観光客の増加によって発生している問題

訪日客の増加は経済効果を生む一方で、現場では次の3つの課題が目立っています。

  • オーバーツーリズム

  • マナーの問題

  • 言語の壁

オーバーツーリズム

観光客が特定の地域に集中し、生活環境や観光体験に悪影響が出る現象です。いわゆる「観光公害」とも呼ばれ、各地で次のような問題が発生しています。

  • 人気エリアの混雑による騒音・景観悪化

  • 空港・主要駅〜観光地までの道路渋滞

  • バス・電車の乗客過多による地元住民の不便

これは住民生活だけでなく、訪問した観光客自身の満足度を損なう要因にもなっています。

マナーの問題

文化や習慣の違いを背景に、現場では次のようなトラブルが起きています。

  • 路上での座り込み・大声での会話

  • ゴミのポイ捨て

  • 土足で畳に上がる

  • トイレを流さない

  • 旅館備品の持ち帰り

  • ホテル予約の無断キャンセル

悪意ではなく「自国の感覚のまま行動している」ケースも多く、日本側の環境(ゴミ箱が少ない、ルールが見えづらい など)も原因の一つです。

言語の壁

円安やLCCの普及により、これまで海外旅行の機会が少なかった層も日本を訪れるようになりました。しかし、英語を含む言語対応が不足している場面では、トラブルが起きやすくなります。

  • 宿泊設備の使用説明が伝わらず、破損や汚損が発生

  • メニューやアレルギー情報が伝わらず、口論に発展

  • 案内表示が読めず、行動が制限される

観光庁の調査では、訪日客の約2割が「コミュニケーションに不便を感じた」と回答しています。 言語の壁は、店舗側だけでなく観光客側にもストレスとなる課題です。

参考:観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました」

オーバーツーリズムのトラブル事例

実際に各地で発生しているトラブルを、代表的な3つの観光地から見ていきます。

  • 富士山周辺

  • 京都府京都市

  • 神奈川県鎌倉市

富士山周辺の事例

富士山には毎年約20万人が訪れ、特に「吉田ルート」に登山者が集中しています。1日で2,800人以上が登る日もあり、以下のトラブルが常態化しています。

参考:環境省「2025 年夏期の富士山登山者数について(詳細版) 」

しかし、過度な混雑によって、以下のような問題が発生しています。

  • ゴミの不法投棄

  • 登山道のトイレ不足・衛生問題

  • 休憩せず一気に登る「弾丸登山」による体調不良

  • 登山道での仮眠や立ち入り禁止エリアへの侵入

  • 山小屋への無断侵入・トイレ利用

参考:観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり 各地域別事例集(山梨県)」

富士山では景観や衛生面の悪化に加え、一般登山者への安全面のリスクも指摘されています。山梨県は登山者数の制限、登山料の徴収、事前予約制の導入などで対応を進めています。

登山道以外でも課題は発生しています。富士吉田市の商店街「本町2丁目」は富士山を真正面に撮影できるスポットとしてSNSで拡散されましたが、訪日客による無断駐車やトイレ利用が相次ぎ、地域負担が増加しました。その対策として、商店街近くにトイレ付き駐車場を新設し、誘導を図っています。

京都府京都市の事例

京都市には年間約5,000万人が訪れ、そのうち約700万人が外国人旅行者です。清水寺へ向かう「二年坂」「産寧坂」周辺は特に混雑が集中し、次のような問題が発生しています。

  • バス・道路の慢性的な渋滞

  • 石畳の摩耗による修復コストの増加

  • 古民家・舞妓の無断撮影

  • 住宅地と観光動線の近接による生活圧迫

観光客の分散施策も一定の効果はあったものの、根本的な解決には至っていません。現在、市は宿泊税の大幅な引き上げ(上限1,000円→1万円)や、新たな観光税の導入を検討しています。

参考:観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり 各地域別事例集(京都府京都市)」

神奈川県鎌倉市の事例

鎌倉市は年間約2,000万人が訪れる人気観光地で、鎌倉大仏や鶴岡八幡宮、小町通りの食べ歩きなどが定番スポットです。映画・アニメの舞台としても注目され、観光エリアが広範囲に拡大している点が特徴です。

しかし、自治体の面積が約40㎢と小さいことから、慢性的な混雑と渋滞が発生しやすく、観光客だけでなく住民の移動にも支障が出ています。

鎌倉市は、次のような対策を進めています。

  • 混雑度をヒートマップで可視化・公開

  • 案内板の多言語化

  • 観光情報の発信強化

  • 公共Wi-Fiの整備

  • 観光事業者・リゾートワーカー向け研修

参考:観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり 各地域別事例集(神奈川県鎌倉市)」

マナー問題のトラブル事例

混雑や交通渋滞といった“物理的な負荷”に加え、文化や価値観の違いによるマナー問題も各地で指摘されています。ここでは代表的な3つのシーン別に事例を見ていきます。

  • 公共の場

  • 飲食店

  • 宿泊施設

公共の場でのマナー違反

観光地の路上や公共交通機関では、次のような行為が問題視されています。

  • 道路で座り込む

  • 信号無視や横断禁止エリアの横断

  • ごみのポイ捨て

  • 喫煙所以外での喫煙

  • 電車・バスでの大声での会話

  • 撮影禁止エリアでの無断撮影

岐阜県高山市では、住宅地と観光スポットが近接していることから、騒音・ポイ捨て・道路の滞留などが住民の生活環境を損ねる要因になっています。市は対策として、外国人旅行者が目にしやすい場所(駐車場トイレ付近)にマナー啓発看板を設置しました。今後はポスター掲示や無料Wi-Fiのトップ画面での注意喚起も予定されています。

参考:観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり 各地域別事例集(岐阜県高山市)」

飲食店でのマナー違反

飲食店では、文化の違いを背景に次のような行為が問題になることがあります。

  • 飲食物を持ち込む

  • 食事中に大声で会話する

  • 「お通し」を無料サービスと勘違いする

  • 一品を複数人でシェアする

  • 食べ放題で料理を大量に残す

多くの国では「持ち込み可」「会話は大声でも問題なし」といった環境が一般的で、日本側が“禁止”とする行為でも、訪日客にとっては日常的なマナーである場合があります。

こうしたギャップを埋めるには、注意書きを掲示するだけでなく、
・多言語対応
・文字に頼らないピクトグラム表記
など、店側のルールを“理解しやすい形”で提示することが重要です。

宿泊施設でのマナー違反

旅館・ホテルでは、次のようなトラブルが発生しやすい傾向があります。

  • 靴を脱がずに室内に上がる

  • 深夜まで騒ぐ・大音量で音楽を流す

  • 備品を持ち帰る

  • 体を洗わずに湯船に入る

  • 予約を無断キャンセルする(ノーショー)

  • 申込人数を超えて宿泊する

多くは「日本の宿泊ルールを知らない」ことが原因で、悪意ではなく文化差による行動です。まずは、館内ルールを“伝わる形”で提示することが前提になります。

  • 多言語での案内

  • ピクトグラムによる視覚表示

  • チェックイン時のレギュレーション説明

それでも改善しない場合に備え、施設側は追加料金・罰則といったペナルティルールを明確化しておくことも有効です。

外国人観光客によるトラブルを防ぐためにできること

トラブルを減らすには、外国人旅行者の行動を“制限する”のではなく、誤解や不便を生まない環境づくりが重要です。受け入れ側の工夫によって多くのトラブルは未然に防げます。

特に効果の高い対策は次の4つです。

  • 看板・メニューなどの多言語表示

  • 混雑を分散させるオフピーク施策

  • 異文化理解に基づいたマナー啓発

  • 自動翻訳など多言語対応ツールの活用

看板・メニューなどの多言語表示

多言語対応は、外国人旅行者の不安を減らし、安心して利用してもらうための基本施策です。店内や案内表示に“読める言語”があるだけで、満足度は大きく変わります。

実施例としては、次のような方法があります。

  • 英語+主要来訪国の言語を併記する

  • メニューや案内板にピクトグラムを併用する

  • 日本特有の飲食文化(例:生魚、そばのつゆ、店ごとの支払い方式など)を補足説明する

混雑を分散させるオフピーク施策

混雑はトラブルの原因になるだけでなく、観光体験そのものを損ないます。店舗や自治体にとっても、ピーク時間帯に人が集中するほど運営負荷が高まるため、来訪を分散させる仕組みづくりが重要です。

オフピーク施策は、旅行者側にとっても「混雑を避けて快適に観光できる」というメリットがあります。結果として「また訪れたい」と思わせる効果も期待できます。

主な取り組み例は以下のとおりです。

  • 混雑状況・交通情報をWebやSNSで事前発信する

  • 閑散期・平日・夜間などの来訪者に特典を用意する

  • 夜間ライトアップや早朝拝観など、オフピーク時間帯の魅力を訴求する

異文化理解に基づいたマナー啓発

マナー違反の多くは「悪意」ではなく、文化や習慣の違いによって生じます。「日本の常識を知らない訪日客」と同じように、「外国の前提を知らない日本側」という構図も存在します。トラブルを減らすには、一方的に注意するのではなく、ルールを“分かりやすく伝える”取り組みが欠かせません。

観光庁では、公共交通機関・飲食店・温泉・宿泊施設など、利用シーン別のマナー啓発動画を英語・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語で公開しています。店頭や施設案内に活用すれば、言語に依存せずマナーを伝えられます。

参考:観光庁「訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画」

自動翻訳など多言語対応ツールの活用

訪日客の多くは、渡航前にWebサイトや口コミサイトで情報を確認します。そのため、情報発信が日本語のみだと「予約できない」「内容が分からない」といった理由で、機会損失につながります。ただし、多言語対応をすべて人力で行うにはコストも工数も大きく、英語以外の言語には対応しづらいのが現実です。

その課題を補う手段として、自動翻訳や多言語出力に対応したツールを導入する方法があります。Webサイト・レビュー返信・メニュー表記などを一括で翻訳できれば、負担を抑えつつ対応範囲を広げられます。

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    監修者プロフィール

    折川 穣(Jo Orikawa)

    IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/

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