
飲食店の経営では「店舗の立地」が重要とされています。しかし、開業資金の都合や物件の競争率が高いことから、理想の物件を見つけられないこともあるでしょう。
とはいえ、飲食店は立地だけですべてが決まる訳ではありません。立地が悪いと言われる飲食店も、方法によっては強みに変えられるのです。
この記事では、集客方法について具体的に開設するとともに、開業する際の場所選びのポイントや、実際にある立地の悪い場所にある人気店について紹介します。
※■POINT※
立地が悪くても、その分賃料が安かったり競合店舗が少なかったり、メリットもある
立地の悪い飲食店では、店舗独自のメニューをつくったり、リピーターに口コミをたくさん書いてもらったりすることが重要
立地の条件は、飲食店の営業形態にもよる
マーケティングには「立地7割」という売上の7割は立地で決定する考え方があります。しかし、「立地が悪いから人が来ない」と言い切るのは判断が早すぎます。飲食店の抱える課題は店舗や営業形態によっても異なるためです。まずは、一般的に立地が悪いとはどんなことを指すか、それぞれどういった課題があるか、具体的にみてみましょう。
大きな都市圏では最寄り駅付近に飲食店が多くあります。そのため、最寄り駅から遠い場所に店舗があると、通勤通学で電車を使用するお客様や車などの移動手段を持たないお客様にとって、行くハードルが高くなってしまいます。一度行きにくい印象を持たれてしまうと、自然と足が遠のいてしまうでしょう。
重要なのは、お客様に「時間はかかるけど行く価値がある」と思ってもらえる独自性や「遠いけどまた行きたい」と思ってもらえるような、リピーターを増やす工夫です。
交通量や人通りが少ない立地に出店しているケースでは、通りかかる方が少なかったり一見して飲食店だと分かりにくかったりと、店舗があることを知ってもらう機会が少なくなります。そのため、新規のお客様を獲得するのが特に難しい傾向にあります。人通りが少ない場所にある知らないお店に、ふらりと立ち寄る方はあまりいないでしょう。
お客様に店舗を知ってもらうためには、SNSやホームページの活用なども取り入れ、人の目にとまるよう宣伝活動により力を入れることが重要です。
地下のお店であったり、2階以上のフロアに出店していたりすることも立地が悪いと言われる条件の一つです。特に地下にあるお店では、通りがかりに見た際に店舗情報が分かりにくく、何のお店でどんなメニューがあるかがお客様に伝わりにくいため、集客につながりません。
お客様を獲得するには、どのようなお店かを店外や入口付近でわかりやすくアピールする必要があるでしょう。
人目につきにくい場所にお店があるというのも、立地が悪いと言われる条件に含まれます。たとえ人通りが多い場所や駅の近辺であっても、通りから奥まった場所にあれば、飛び込みのお客様は期待できないでしょう。また、ホームページやSNSなどを見て訪れたお客様が店舗を見つけられずに来店を諦めてしまうケースもあります。
お店を見つけやすくするためには、人の目につきやすい所に看板を設置するなど、お客様を誘導する工夫が重要です。
自家用車での移動が多い土地柄では、駐車場がなかったり止めにくい場所にあったりすることも立地が悪いと言えます。特にファミリー層には、駐車場がない、あるいは車が止めにくいことはマイナスな印象になってしまい、行き先として選んでもらえないこともあります。周囲の交通手段の状況や車で来店するお客様の数次第では、月極駐車場を借りる、付近のパーキングと提携するといった方法や、お客様の駐車料金を補てんするような対策をとりましょう。

飲食店における立地の悪さについて、周囲の環境とあわせてさまざまなパターンを紹介しましたが、どのパターンの飲食店にも共通する問題が集客の難しさでしょう。続いて、具体的にどういった問題があるか解説します。
まず、来客数が伸びにくい点が挙げられます。例として、駅と直結している飲食店と、駅から徒歩10分の距離にある飲食店があるとします。この2店舗を比較すると、人の流れやアクセスといった点で後者の店舗が不利でしょう。特に駅から離れた店舗は、「多少遠くても行きたい」と思わせる魅力をアピールすることが重要です。
次に、リピーターを獲得しにくい点です。立地の悪さによって、一度は来店してもらえても次また来ていただくことが難しくなります。リピーターを獲得するためには、そのお店独自の魅力や強みを把握し、しっかりと発信していく必要があります。
最後に、顧客に店舗を認知してもらいにくい点です。これは「飲食店があることを、お客様に知ってもらうこと自体が難しい」ことを意味します。どれほどお店が魅力的で、独創的なメニューを提供していても、お店を知ってもらえなければお客様がお店を選ぶ際に選択肢の中に入れてもらえないでしょう。特に人通りが少ない、人目につきにくい場所にある店舗は、いかにしてお客様の認知を得るかがカギとなります。
ここまでは立地の悪い飲食店について、デメリットを挙げてきました。しかし、立地の悪い場所といっても店舗のコンセプトや開業資金などの面で、メリットととれる部分も多くあるのです。ここでは、立地が悪いことによる具体的なメリットを紹介します。
駅の近くや街中は人通りが多いため、飛び込みのお客様に期待できる一方で、賃料は高めに設定されていることが多い傾向です。しかし、立地の悪い場所は賃料が安い傾向にあるため、店舗の固定費や維持費を抑えられます。また、店舗の面積も広く、ゆったりとした空間づくりが可能です。賃料を抑えて開業資金にゆとりを持てれば、広告や宣伝、仕入れなどに資金を回せるため、開業準備に余裕が持てます。
人通りが多くアクセスも良い立地の物件は、飲食店のオーナーには特に人気です。どの物件が空いている、または空きそうなのか日々の徹底したリサーチや、契約までの迅速でスムーズな対応力が必須となるでしょう。対して、立地の悪い物件は競争率が低めな傾向にあるため、お店のコンセプトに合わせ、じっくりと出店を考えられます。本契約の際は「立地が悪い」と感じさせる要因をきちんと把握し、実際に出店した際に生じるデメリットを補えるか、事前にしっかりと対策を立てることが重要です。
立地が悪い物件は、街中や駅周辺などと離れていることが多く、店舗周辺が比較的静かです。コロナ禍で外食する機会が減り、外での食事に特別感や非日常感を求める層が増えたことで、静かに食事を楽しんだりゆったり過ごしたりしたい方は少なくありません。
庭や店舗周辺の植物を手入れしてテラス席を設置するほか、家具やインテリア、ティーセットや食器にもこだわることで、日常から離れたような特別な雰囲気を演出できるでしょう。
立地が悪い原因の一つである「人通りが少ない」という点は、逆に言えば「穴場スポット」や「隠れ家的」といった魅力があります。人通りが少ない場所は周りが騒がしくないことも多いため、落ち着いた雰囲気を演出できます。隠れ家といっても、まずはお店があることを知ってもらえなければ、実際に来店するお客様は期待できません。お客様を来店に結びつけるためには、SNSなどのWebサービスを活用して情報を発信することが効果的です。
飲食店にとって立地の良い場所に出店すれば、必然的に競合店舗が多くなります。そのため、立地の良い場所でも他の飲食店に埋もれてしまい、思ったように集客できないケースも多くあります。その点、立地の悪い場所は競合店舗も少なく、お客様から認知されるようになれば選ばれる可能性も高くなります。出店する地域にとって「どんなお店が求められるか」を意識してコンセプトを考えることができれば、地元の人気店になれる可能性もあるでしょう。
実際、立地が悪くても課題を解決し、人気のお店になった店舗もあります。地道に集客や宣伝活動を続けていけば、きっと結果はついてくるでしょう。ここでは、立地の悪い飲食店の集客方法を解説します。
立地の悪さは、工夫や考え方次第ではアピールポイントに変えられます。地下や建物の上層階などにある飲食店では、上でも解説していますが「隠れ家的」なお店をコンセプトにするとよいでしょう。人目につきにくい、落ち着いた空間を求めるお客様の場所づくりが可能になります。
「誰が見てもどのようなお店かわかりやすい」点もポイントです。何のお店か、メニュー展開、価格といったお客様が必要とする情報をシンプルにアピールしましょう。具体的には、目につく場所に看板を置く、窓にカッティングシートを貼るといった方法があります。お店の魅力が伝わるポスターや看板に細部までこだわることも、競合店舗との差別化のためには重要です。
立地が悪い飲食店における集客方法の一つとして、メニューを工夫することが挙げられます。このお店にしかないような独自のメニューや話題性を意識したメニューを提供し、SNSやWebサービスで口コミが広まれば、集客における武器となります。また、限定メニューを提供することで特別感も演出できるため、お客様の興味を引きつけられるでしょう。
立地が悪いお店では、ホームページやSNSなどを有効活用しましょう。InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのSNSは無料で利用でき、お客様も手軽に情報を検索できます。SNS運用のコツは、ハッシュタグを活用して店舗の情報発信を継続して行うことです。来店したことのない方の関心を引くために、こだわりの内装や魅力的に撮影した料理の画像も付けるとより効果的です。
ホームページでは「店内の雰囲気」「メニュー」「価格」「その他のサービス」といった内容をわかりやすく伝えることが重要となります。また、お店へのアクセスや駐車場の有無についても記載するとよいでしょう。わかりやすさとスタイリッシュさを両立させたホームページを作成できれば、新規のお客様の獲得にもつながりやすくなります。
グルメサイトへの掲載も、集客方法としては効果的です。特に新規のお客様は、グルメサイトを利用してお店選びをすることが多いため、ユーザー数の多いグルメサイトに掲載することで来店の機会が増加するでしょう。ただし、グルメサイトであればどこでもいいわけではありません。掲載するための費用や店舗がある地域の掲載状況も念頭に置いて、お店に合ったグルメサイトを探す必要があります。
口コミを増やすことも集客方法として大切です。来店してくれたお客様を大切にするのは当然ですが、リピーターになってもらえれば良い口コミを広げてもらえるでしょう。また、「口コミの記載で次回来店時割引」や「次回ワンドリンク無料」などのキャンペーンを同時に行えば、口コミの増加、再来店が期待できます。特に立地が悪いお店では、広く浅くアピールするよりもターゲットを絞ってアピールするほうが予算を抑えられ、効率よく集客できます。
コロナ禍でテイクアウトやデリバリー、お取り寄せの需要が増えた結果、デリバリーやお取り寄せからお店を知って来店につながる、という流れが定着しつつあります。デリバリーや通信販売という形態であれば、立地の悪さを気にする必要はないため、お店の味を手軽に味わってもらうためにはよい方法でしょう。とはいえ、人の少ない地域や地方ではデリバリー自体が難しいこともあるため、注意が必要です。
お店までのアクセスが良くないうえに駐車場がないのであれば、客足が伸びない理由は明白です。駐車場がなければ提携駐車場の契約をしたり、送迎車のサービスをつけたりするのも手段の一つです。お店を利用すれば駐車料金が割引になるサービスを用意すると足を運ぶハードルも下がります。また、ホームページやポータルサイトなどに店舗の概要を掲載する際は、駐車場が利用可能であることを忘れずに明記しましょう。
他店とのコラボ、ケータリング、イベントへ出店する集客方法もあります。コンセプトが近く、親和性のある他店とコラボすることで、店舗同士の接点が生まれ、新規のお客様を獲得できる可能性があります。また、ケータリングやイベント出店では多くの人にお店を知ってもらえるため、今後の顧客になってくれるかもしれません。しかし、イベントの出店には費用がかかるほか、事前準備や人員の確保などが必要になるため、コストや手間と見合うかどうか見極めることがポイントです。
お客様に近い存在であるスタッフ次第で飲食店の印象が決まることもあります。接客の質が良いことは、お店の印象を良いものにするほか「また来たい」と思ってもらうためにも大切です。接客の質を上げるには、お客様の声を聞くためにアンケートを置くこと、クレームやご意見があった際には真摯に対応することが重要です。

立地が悪くても集客は可能ですが、飲食店を開業するにあたっては場所選びが大変重要です。では、店舗の場選びで役立つポイントを4つ紹介します。
まずは、出店したい地域について家賃相場を確認しておきましょう。
飲食店のコストの中で多くを占めるのは「Food(食材費)」「Labor(人件費)」「Rent(家賃)」の3つで、この3要素を略して「FLR」と呼びます。「FLR比率=(食材費+人件費+家賃)÷売上×100」で売上に対する各コストの割合を算出します。一般的に、売上に対する家賃比率は10%程度です。家賃相場と相談しつつ、この10%を基に物件を選ぶとよいでしょう。
最寄り駅に近ければ人通りもあり集客も期待できると思うでしょう。駅付近でも路地裏だったり雑居ビルの上階だったりと、入りにくい場所にあるケースは少なくありません。物件を決める際は、最寄り駅からお店までの距離と時間について、実際に歩いて確認することが大切です。また、ホームページやSNSなどに最寄り駅からお店までの経路と到着時間を記載すれば、お客様の来店しやすさもアップするでしょう。
お店の商圏となる世帯属性や交通状況を把握することは、どのようなビジネスでも重要です。「商圏」とは、ビジネス展開の際に来店が見込まれる地理的範囲を指します。商圏内で来店見込みがある層はお店のコンセプトと合っているか、道路からの視認性や交通面でのアクセスの良さ、競合する店があるかなどをしっかり調べましょう。こうした商圏の分析は、出店計画を立てる段階や、売上予測の際に役立ちます。
お店の立地条件は業態やターゲット層によって異なるため、人通りが多い場所であればよいとは限りません。例として、回転率の速さが重要なラーメン店やファストフード店は駅前や繁華街などの人通りが多い場所に向きます。ファミリー層や主婦層に向けたフレンチやイタリアンであれば、ゆったりと食事ができる静かな住宅街で、メニューやお店自体に特別感を持たせると客単価が上がります。他にも、ビジネス街や道路の沿線、商店街など店舗の種類によってターゲットはさまざまです。
立地の悪い飲食店に共通する課題として「集客の難しさ」が挙げられます。
SNSが普及している現在では、広く知ってもらい集客をするためにも、SNSを活用することは重要です。まずは開業をより多くの方にお知らせし、強みや特徴をアピールしましょう。
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監修者プロフィール
折川 穣(Jo Orikawa)
IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/
