マガジン

クリニック開業に必要な準備と流れ|失敗し...

MEO

店舗運営

2026.01.23

クリニック開業に必要な準備と流れ|失敗しないための初期集患戦略を解説 

  • # クリニック

クリニックを開業するためには、物件選定や資金計画だけでなく、開業後すぐに患者さんに来院してもらうための「初期集患」までを見据えた準備が欠かせません。どれほど質の高い医療を提供できても、開業初期に患者数を確保できなければ、経営の安定は難しくなります。

本記事では、クリニック開業までの準備プロセスを段階ごとに整理しつつ、成功の鍵となる初期集患の重要性を解説します。開業を検討している医師の方はもちろん、計画を具体化させたい方にも役立つ内容です。


※■POINT※

・クリニックの開業準備は、1年以上前から時間をかけて行う

・開業直後の集患には口コミ対応を含め「MEO対策」が重要

クリニックを開業する2つの方法

クリニックを開業するには2つの方法があります。

  • 個人事業主として開業する方法

  • 医療法人として開業する方法

両者の大きな違いは「法人格の有無」と「営利目的の可否」です。税制、資金調達、運営体制なども異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで選択する必要があります。

個人事業主として開業する方法

個人事業主(個人クリニック)は法人格を持たない形態で、事業を行う主体は「個人」です。

収益や負債はすべて個人に帰属し、登記は不要ですが、医療機関特有の届出が多い点が特徴です。営利活動が可能で、得た利益は自由に活用できます。

法人格

なし

営利目的

可能

税制

事業所得(所得税・消費税・個人事業税・社会保険)の課税対象

資金調達

設備投資、内装、医療機器の購入など、初期費用は高額になりやすい/法人よりも社会的な信用度が低く、借入などの審査は通りにくい傾向/医療機器はリース利用が一般的

運営体制

院長個人が開設、運営する/必要に応じてスタッフを雇用する/医療法に基づく管理が義務化されている

さらに個人クリニック(個人事業主)として開業する方法は大きく「新規開業」と「承継開業」の2つに分けられます。どちらも営利目的の運営が可能となる事業形態です。

  • 新規開業

土地探しから建物の設計・内装・スタッフ採用まで、一から準備して開業する方法です。

メリット

自分の思い描くクリニックを自由に設計できる/自身の診療方法に合ったスタッフを採用できる

デメリット

内装・設備・採用・集患など、初期コストとリスクが大きい/開業までの準備や事業安定化に時間がかかる

  • 承継開業

既存のクリニックの立地や建物、医療機器やスタッフを引き継いで開業する方法です。

親族内承継と第三者承継の形態があります。

メリット

物件探しや建物の建築が不要なため、初期費用を抑えられる/既存患者を引き継げるため、早期に経営が安定しやすい

デメリット

前院長の診療方針やスタイルに配慮が必要/承継元が経営難だった場合、リスクも引き継ぐ可能性がある

医療法人として開業する方法

医療法人は法人格を持つ経営形態で、地域医療への貢献が目的とされ、公共性が強い点が特徴です。利益配当はできませんが、社会的信用が高く、資金調達もしやすいメリットがあります。分院の展開など、組織としての拡大にも適しています。

法人格

あり

営利目的

利益の配当は禁止/院内の設備投資や経営改善に利益を使うことは可能

税制

法人税(消費税・事業税・住民税)の課税対象/高収益の場合、節税メリットが大きい

資金調達

公庫の医療枠や民間銀行の融資が受けやすい/医療機器や設備のリース契約が円滑に行える

運営体制

組織運営としての要素が強くなるため、機関設計(院長、理事、監事など)が必須/定款に従って運営する

クリニック開業までの流れ1:開業1年前まで

開業1年前からは、クリニック経営の基盤となる準備を進めます。主に次の3つが中心です。

  • コンセプト設計

  • 診療圏のリサーチ

  • 事業計画の策定

コンセプト設計

コンセプト設計は開業準備の出発点であり、「なぜ開業するのか」「どんな医療を提供したいのか」を明確にする工程です。ここが曖昧だと、運営方針の一貫性が失われ、スタッフ教育やサービス品質にも影響が出ます。

コンセプトを明確にするメリット

  • ターゲット患者層のイメージが具体化される

  • 必要な設備、人材、開業場所を決めやすくなる

  • 患者・スタッフと理念を共有でき、方向性が一致する

  • 他院との差別化や、安定した経営につながる

  • 経営判断の基準として機能する

コンセプトが曖昧になってしまうと「運営方針に一貫性がなくなる」「スタッフ教育が上手くいかなくなる」などのリスクがあるため、長期的な経営のためにも設計しておきましょう。

コンセプト例

「総合病院で培った経験を生かし、訪問診療などを通じて地域医療へ貢献したい」

診療圏のリサーチ

開業予定地でどの程度の患者数が見込まれるかを把握するため、診療圏調査を行います。一般的には、半径500m を目安に分析します。

主なリサーチ項目

  • 人口分析:エリア内の人口構成、年齢層、男女比などを分析して、クリニックの診療内容との適合性を検討

  • 競合調査:周辺のクリニックの数、標榜診療科名、混雑状況などの把握

  • 推計患者数:1日あたりどれくらいの外来患者が見込まれるかの推計

  • アクセス調査:主要道路、公共交通機関、駐車場の有無などを調査し、患者が通院しやすい環境かどうかを確認

  • 将来性:住宅・商業施設の建設計画の有無

事業計画の策定

開業に必要な「ヒト(人材)・モノ(設備、物件)・カネ(資金)」を数値化し、計画の実現性と収益性を検証します。

  • コンセプトと戦略を明確にする

「どのような医療を提供するのか」「どのようなクリニックにしたいのか」という理念を固める。集患方法や認知度向上など、具体的な戦略を言語化する。

  • 収入と支出を見積もる

医療機器や人件費など、支出をできる限り具体的に計上する。支出を基に、赤字にならないために必要な患者数を割り出す。

  • 資金計画を具体化する

収支シミュレーションをするなど、詳細な資金繰り表を作成する。開業後は計画との差異を分析し、経営の改善につなげる。

  • 計画の完成度を高める

計画策定の段階から専門家や先輩の開業医に相談をしてフィードバックをもらう。状況の変化に沿って計画を定期的に見直し修正していく。

クリニック開業までの流れ2:開業半年前まで

クリニック開業の半年前までには、次の3つをおおむね完了させておくことが望ましいです。

  • 物件の選定

  • 各所への事前相談

  • 開業資金の調達

物件の選定

立地やアクセスなどを加味して、事業計画に合う物件を選びます。一般的なテナント物件は医療機関として使いにくいケースもあるため、医療施設に詳しい不動産業者や設計会社に確認しながら進めると安心です。

物件選定時の主なチェックポイント

■物件のタイプ
・戸建て
・医療モール(クリニックモール)
・ビル
・居抜き・承継物件

■広さ・レイアウト
・診療室の広さ・導線
・待合室の広さ・椅子数
・スタッフルーム、更衣室の有無

■設備・法令面
・電気容量(医療機器を問題なく稼働できるか)
・バリアフリー対応
・建築基準法や医療法上の基準を満たせるか

「集患に有利な場所だが、医療法で定められた広さが足りない」「家賃は安いが、視認性が低く患者が見つけにくい」など、物件の選定には時間がかかります。

事業計画や診療方針と照らし合わせ、バランスの取れた慎重な選定をしましょう。

各所への事前相談

関係機関と早めに協議しておくことで、後の手続き漏れやスケジュール遅延のリスクを抑えられます。

■保健所
・クリニックの構造設備や内装に関する指導を受ける
・X線装置設置の可否・必要な申請の確認
・各種届出や申請書類の確認

厚生局
・保険医療機関の指定を受けるための手続きについての相談

■医師会
・入会条件や入会金の確認
・地域の医療機関との連携促進や最新医療情報の提供など、開業後のサポート内容の確認

開業資金の調達

クリニックや医院の開業には内装工事費、医療機器購入費、人件費など多額の資金が必要になります。自己資金だけで賄うケースは少なく、多くは金融機関からの融資を組み合わせます。

開業直後は患者数が読みづらく、赤字が続く期間も想定されるため、「どの程度の融資があれば赤字期間を乗り切れるか」を基準に検討することが大切です。金融機関は、収支計画や返済計画の妥当性を重視するため、ここでも精度の高い事業計画書が重要な役割を果たします。

クリニック開業までの流れ3:開業半年前~直前

開業6ヶ月前から直前にかけては、開院準備の最終ステップが本格化します。次の4つを完了させておく必要があります。

  • 医療機器の選定

  • 内装工事

  • スタッフ採用と研修

  • 各種届出

医療機器の選定

診療内容や治療方針、地域ニーズに合わせて、必要な医療機器を選定します。導入時だけでなく、運用後のコストや使いやすさも重要です。

機器選定時の主なポイント

  • 診療内容・治療方針に適している

  • 初期費用だけでなく、保守費・消耗品などランニングコストに無理がない

  • スタッフが扱いやすい設計か

  • 機器の電力消費量が建物の電気容量を超えない

  • 保証期間、更新頻度、メーカーのサポート体制が整っている

電子カルテはほぼ必須であり、サポート体制や操作性も比較基準になります。X線(レントゲン)装置を導入する場合は、保健所で別途手続きが必要です。

内装工事

患者が安心して利用できる環境を整えるため、バリアフリーや動線設計、プライバシー保護を考慮した内装工事を行います。費用が大きいため、複数社から見積もりを取得&比較検討します。

内装工事で意識すべきポイント

■患者への配慮
・清潔感と落ち着きのある色調
・患者層(小児・高齢者など)に合わせた内装デザイン
・診察内容や会話が外に漏れない仕切りや遮音設計
・車いす・高齢者が移動しやすい広い通路、スロープ・手すりの設置
・患者とスタッフの動線が重ならないレイアウト
・スムーズに受付から診察に移動できる動線設計

■法令順守と専門性
・建築基準法、消防法、医療法、自治体条例などを遵守
・法令に違反すると開設許可が下りない可能性
・医療施設に精通した設計会社・コンサルタントへの依頼が望ましい

スタッフ採用と研修

採用方法は「縁故採用」と「公募」が一般的で、選び方によってメリット・デメリットが異なります。

労務手続きや雇用契約のサポートが必要なため、社労士との顧問契約も検討すると良いでしょう。

  • 縁故採用

    血縁、家族、知人など、近しい関係を持つ人物が優先される採用方法です。信頼できるスタッフを確保したい場合に用いられますが、実力不足の人材が入社するリスクもあります。

  • 公募

    クリニックがウェブサイトや求人サイトで広く人材を募集する採用方法です。専門スキルを持った人材や、クリニックの理念に合う人材を探しやすい半面、給与水準がモチベーションに影響するため、同一診療圏にある医療機関での給料相場を把握しておきましょう。

スタッフ研修も開業前に行うことが必要です。機器の使い方、医療フロー、接遇マナー、院内設備の説明などを通じ、スタッフ間の連携をスムーズにしましょう。

各種届出

開業前後には、複数の行政機関に対して手続きを行う必要があります。

■保健所

診療所開設届:開設後10日以内に提出(提出しないと医療行為が不可)
診療用X線装置装備届:X線装置を設置する場合
結核指定医療機関指定申請書:該当ケースのみ

■厚生局

保険医療機関指定申請書:保険診療を行うために必要。
基本診療料・特掲診療料の施設基準に係る届出:診療報酬を算定するために必要。

■労働基準監督署(労基署)
保険関係成立届:従業員が1名でもいれば開業から10日以内に提出

■税務署
開業届(個人事業主):事業開始から1ヶ月以内
法人設立届出書(医療法人):事業開始から2ヶ月以内

「初期集患」の重要性

開業直後は開業のために投じた資金を回収する重要な期間でもあり、初期の集患はクリニック経営の生命線となります。

近年はコロナ禍後の患者数の減少や、人件費・材料費が高騰したこともあり、2025年の「医療機関の倒産・休廃業」が上半期過去最多となりました。このような事態は地域の住民にとって医療の空白を生み出し、クリニックのスタッフや経営者(院長)にとっても大きな負担となります。

開業してからすぐ活気づくクリニックになるよう、継続的な新患・リピーターの流入を目指しましょう。

Web周りを充実させて患者の利便性を高める

現在は、患者が医院を探す際に ホームページやGoogle Maps(MEO) を利用するのが一般的です。Webを整備することは、集患のためだけでなく「患者が安心して来院できる環境をつくる」ことにもつながります。

  • ホームページを必ず作成する

    オンライン予約システムの導入や、診療時間、アクセス情報、医師とスタッフの紹介、院内の様子、臨時休診などの最新情報を提供し、安心感を与えて来院のハードルを下げる。

  • 集患と認知度向上のための施策を行う

    必要に応じてSNSやオンライン広告の活用を検討する。MEO対策やGoogle Mapsでの情報を充実させる。

MEO対策の強化で集患を促進する

医療機関は「近くの+診療科目」で検索されるケースが非常に多く、MEO対策は初期集患に直結する施策 です。

MEO対策の基本

  • Googleビジネスプロフィール(GBP)を最適化

  • 診療科目・地域名を含む情報を整理

  • 写真・診療案内・休診情報を常に最新化

  • 口コミへの返信体制を整える

クリニックの場合、情報発信には必ず「医療広告ガイドライン」が適用されます。違反すると行政指導の対象になり、信頼性の損失にもつながります。

主な禁止事項

1.比較優良広告

(事実であったとしても)ほかの医療機関と比較して優れているという表現

2.誇大広告

・医学的根拠のない効果や実現不可能な内容を記載していること

・誇張表現を必要以上に利用して誤認させるおそれのある表現

3.公序良俗に反する内容の広告

扇情的、過度に恐怖心をあおるような表現、他人を貶め、差別するような表現

4.患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告

患者や家族の体験・感想を、当該医療機関が誘因を目的として掲載・紹介すること

5.治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または後の写真等の広告

・特定の症例写真が誰にでも当てはまるかのように見せること

・患者や家族がその広告を見ただけで治療効果を誤認する表現

※厚生労働省 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)を基に作成

クリニック選びを左右する「口コミ管理」

クリニック選びは健康に関わるため、口コミの質・量ともにユーザーから重視される要素です。

  • 来院した方に直接お願いをする

  • QRコードを設置して端末で読み込んでもらう

  • 口コミ依頼のチラシやカードを渡す

口コミ投稿のハードルを下げる工夫が、MEO効果と新規患者獲得につながります。

関連記事

>>クリニック集患を成功させるコツとは?効果的な施策11選を紹介!  
>>クリニックのMEO対策|Googleマップで上位表示するコツと集患成功のポイント   
>>クリニックDXとは?電子カルテ・オンライン診療・予約管理の活用と導入ポイントを解説  

クリニックのMEO対策なら「STOREPAD」

MEO対策と口コミ管理を継続的に実施するには、専門的な知識と手間がかかります。そこで役立つのがイクシアス株式会社が提供する「STOREPAD」です。

STOREPADは、Googleビジネスプロフィールの最適化だけでなく、Yahoo!マップやInstagram・X(旧Twitter)・Facebookなどの主要SNSと連携をして、最新の情報を一括で発信できます。

  • 認知度が低くて集患・増患できない

  • スタッフが業務に追われている

  • 経営状況を把握できない

  • WebサイトやSNSの情報発信の方法が分からない

  • 口コミが増えない

このようなお悩みの解決を、STOREPADがお手伝いします。

詳しい機能や料金についてはこちらの資料を一度ご確認ください。


お役立ち資料

店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。

    シェアする

    監修者プロフィール

    遠藤 啓成(Endo Hiromasa)

    イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。

    記事一覧にもどる