
Googleマップや検索結果に表示される口コミは、患者が医療機関を選ぶ際の重要な判断材料です。しかし近年、医療機関のGoogle口コミには「サクラ」や「やらせ」とされる不自然な高評価レビューが散見され、本物の体験と虚偽の情報が混在する状態が問題視されています。
本記事では、虚偽の口コミが投稿される背景、信頼できる口コミの見分け方、病院経営やMEO施策におけるリスクと対応策について、広報担当者や運営責任者向けに解説します。
※■POINT※
病院やクリニックは他の業界よりもサクラの口コミが多い傾向にある
口コミはMEO対策の上でも大切。真っ当な方法で増やす取り組みを行おう

Googleの口コミは、患者が病院を選ぶ際の“事実上の第一印象”として機能しています。
とくに初診や転院を検討する場面では、患者は実際の体験者の声=信頼性の高い判断材料として口コミを重視する傾向があります。
その一方で、医療機関のGoogleマップ上には、極端にポジティブで不自然な評価が並ぶことも少なくありません。これはいわゆる「サクラ」(やらせ投稿)と呼ばれるもので、実際には通院していない第三者が口コミを投稿しているケースです。
■病院がサクラの温床になりやすい理由
患者側の「失敗したくない」という心理的リスク回避意識が強く、口コミの影響力が他業種より大きい
医療の質が可視化しづらく、「★の数」やランキング表示に集患が左右されやすい
MEO対策の一環として、高評価レビューを“数値的成果”と見なす風潮がある
広告規制が厳しい医療業界では、口コミが実質的なマーケティング手段となりがち
これらの要因が重なり、「口コミ評価をコントロールしたい」「★を意図的に上げたい」と考える病院や運用代行会社が、サクラ投稿に依存してしまうケースがあります。
■サクラが混在することで起きる問題
高評価が並んでいる病院は良さそうに見えますが、サクラの混在は以下のような重大なリスクを孕んでいます。
患者との信頼関係が崩れる:「口コミと実際の対応が違う」と感じた患者がかえって強い不信感を抱く
Googleのガイドライン違反となり、アカウント停止や口コミ削除のリスク
景品表示法違反による行政指導・措置命令の可能性
採用ブランディングにも悪影響:医師や看護師志望者が「信頼できない医療機関」と判断するケースも
病院口コミにサクラが多い背景には、口コミ代行業者の存在があります。
本来、口コミはMEO対策の重要な要素ですが、一部業者はMEO支援を謳いながら、実際には虚偽の口コミを投稿しています。場合によっては、病院側がこうした不正行為に気づかず利用するリスクもあるため注意が必要です。
代行業者によるサクラ投稿は「なりすまし」「虚偽のエンゲージメント」としてGoogleのガイドライン違反に当たります。
■投稿がバレる理由
Googleのアルゴリズムによる自動検出
テンプレート文の繰り返しや、短期間に複数アカウントから集中投稿されると不自然な動きとして検知され、アカウント停止や投稿削除の対象になる
ユーザーからの通報・第三者チェック
実際の患者や競合医療機関からの通報によって、Googleが調査を開始するケースもある
投稿者プロフィールや過去投稿との不一致
明らかに関連のない地域・業種への連続レビューや、実在しない患者像が見える投稿は不信感を招きやすく、「サクラでは?」と判断される要因になる
一度不正が発覚すれば、Googleのレビュー機能の一部制限、ビジネスプロフィールの停止、信頼低下などのダメージを受ける可能性があります。
サクラによる口コミは、Googleの利用規約違反に留まらず、法律にも抵触する可能性があります。虚偽の口コミにより、他院と比較して優れていると誤認させる行為は、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反するリスクがあるため注意が必要です。
■違法になる可能性がある行為
実際よりも著しく優良であるかのように見せかける内容の投稿
第三者による「★5」投稿を報酬付きで依頼し、自然な評価に見せかける行為
他院よりも優れていると誤認を誘導する表現(例:「ここだけがまとも」「ほかより断然安心」など)
医療機関は、人命・健康に関わる情報を発信する立場にあります。虚偽の口コミが患者の判断を誤らせることで、診療の選択を誤らせる、生命に影響するといった重大な社会的責任を問われるケースもあります。

Googleマップの口コミを読む際は、評価そのものよりも「投稿の中身と投稿者の情報」を慎重に見極めることが重要です。以下、サクラの可能性がある口コミを見分けるための4つの視点を解説します。
サクラによる口コミは、多くの場合テンプレートに基づいて作成されているため、以下のような共通パターンが見られます。
文体が似通っており、内容が抽象的(例:「最高でした」「丁寧な対応に感動しました」など)
業種を問わず、同じような評価文が連続して投稿されている
投稿者が同じタイミングで複数の店舗に★5レビューを連投している
➡️複数アカウントから似た内容が並んでいる場合は、サクラの可能性を疑ってみる
投稿者のプロフィールから、信頼できるレビューかどうかを推測できます。次のような特徴がある場合は注意が必要です。
投稿履歴がほとんどなく、活動が極端に限定的
遠方の施設ばかりに口コミを書いている
アカウント名や画像、説明文がデフォルトのまま
➡️「実在感のないアカウント」は、口コミの信用度が低い可能性がある
意図的に評価を操作するアカウントは、以下のような偏った投稿傾向を持ちがちです。
★1と★5など、評価が極端で中間が少ない
内容が過剰に絶賛または攻撃的で、具体性に乏しい
「○○先生だけは神!」「他院と違って唯一信頼できる」など、比較強調が強すぎる表現が多い
➡️感情的すぎる口コミは、信憑性を一度疑ってみるのが賢明
口コミの信憑性は、投稿者の過去の投稿履歴を確認すると推測できます。以下の5つが確認ポイントです。
■見るべきポイント
投稿頻度:1週間で10件以上の集中投稿は要警戒
ジャンルのばらつき:クリニック・ラーメン店・脱毛サロンなど不自然に幅広い
内容の具体性:「スタッフの○○さんの説明が分かりやすかった」など実体験を感じる描写があるか
ネガティブ意見の存在:全てが★5だと不自然。多少の不満がある方が“本物”らしさがある
アカウントの整合性:名前・アイコン・投稿地域などに一貫性があるか
このように、星の数や平均評価だけでは見えない“中身”を読み解くことが、信頼できる口コミを見極める鍵です。サクラの有無はGoogleアルゴリズムでも完全には見抜けません。だからこそ、運営者や閲覧者が“口コミリテラシー”を持つことが、正しい評価と信頼性の担保につながります。
実際にサクラによる口コミで、行政処分を受けた病院が存在します。景品表示法の第5条第3号で示されている「ステルスマーケティング」に該当すると認められ、消費者庁から取りやめるように措置命令を受けた事例を2件紹介します。
医療法人社団祐真会が運営する「マチノマ大森内科クリニック」は、令和6年6月6日に消費者庁から景品表示法違反として措置命令を受けました。
このクリニックでは来院した患者に対し、Googleマップ内の口コミへ最高評価「星5」の投稿を条件に、インフルエンザワクチンの接種費用を値引きしていました。これは他の閲覧者から見てクリニックによるやらせ表示とは判別できないため、ステルスマーケティングに該当します。
消費者庁はクリニックへ、インフルエンザワクチン接種費用の割引による患者の「星5」投稿を取りやめるように、措置命令を行いました。また、この行為が景品取引法に違反する旨を祐真会の役員と従業員のほか、一般消費者へも周知を徹底し、再発防止策を講じるように処分も下されています。また、今後は同様の表示を行わないように命令が出ました。
医療法人社団スマイルスクエアが経営する診療所「スマイル+さくらい歯列矯正歯科二子玉川」が、令和7年3月17日に消費者庁から景品表示法違反として措置命令を受けました。
この診療所では来院した患者に対し、Googleマップ内の口コミ欄へ「星5」評価をつけ、併せて感想を投稿するのを条件に、利益を提供していました。具体的には5,000円分のQUOカード、または治療費からの5,000円割引といった行為です。
これらの条件により投稿された作為的な「星5」評価は他の閲覧者が誤認するため、消費者庁からステルスマーケティングに当たると判断されました。
こうした口コミは閲覧したユーザーに誤認される表示であるため、景品表示法違反の旨を周知徹底するよう措置命令が下されました。加えて、スマイルスクエア役員と従業員にも再発防止策を講じ周知徹底させ、今後は同様の表示を行わないように命令が出ています。
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口コミに対して丁寧に返信を重ねることで、サクラに頼らずとも病院のイメージを着実に向上させられます。口コミ対応にお悩みの方は、ぜひ「STORE PAD」の導入をご検討ください。
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監修者プロフィール
遠藤 啓成(Endo Hiromasa)
イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。
