
Googleビジネスプロフィールに事実と異なる口コミや悪質な中傷が投稿されても、口コミ欄から投稿者の氏名や住所などを特定することは原則としてできません。ただし、投稿によって名誉権や信用などの権利が侵害されている場合は、法的手続きを通じて発信者情報の開示を求められる可能性があります。
対応方法は、投稿内容や被害の程度によって異なります。Googleのポリシーに違反する口コミであれば削除を申請でき、投稿者への損害賠償請求などを検討する場合は、発信者情報開示請求が選択肢になります。
本記事では、Google口コミの投稿者を特定できる条件、削除申請と開示請求の違い、開示までの手続きや費用を整理します。あわせて、批判的な口コミを受けた際の対応方法や、避けるべき対応も解説します。
※■POINT※
削除申請(軽度)と開示請求(重度)は段階的に使い分ける
権利侵害が認められれば、開示請求で投稿者を特定できる可能性がある
Google口コミでは、投稿者がGoogle上で公開しているプロフィール情報は確認できますが、口コミ欄から氏名や住所などの個人情報を取得できるわけではありません。
投稿によって権利を侵害されており、損害賠償請求などのために投稿者を特定する必要がある場合は、発信者情報開示請求などの法的手続きを検討します。
口コミに表示される名前やプロフィール写真、過去の投稿だけで、投稿者本人を確実に特定することは困難です。
プロフィールに実名や顔写真などが掲載されていれば手がかりになる場合はありますが、表示名が本名とは限らず、投稿履歴だけで本人と断定することもできません。推測した人物の氏名などを公開したり、直接連絡したりする対応は避けるべきです。
投稿者を法的に特定する必要がある場合は、公開プロフィールを調べるのではなく、発信者情報開示の手続きを利用します。
投稿者の特定とは別に、Googleのポリシーに違反する口コミはGoogleへ報告できます。Googleは、実体験に基づかない投稿、なりすまし、嫌がらせ、個人情報の公開などを禁止・制限しています。
Googleマップでは、対象の口コミから「レビューを報告」を選択して審査を依頼できます。報告後は、処理中、削除済み、削除されなかった場合などのステータスも確認できます。
ただし、店舗にとって不都合な内容や低評価であることだけでは、削除の理由にはなりません。Googleのポリシーに違反しているかどうかが判断基準になります。
投稿者を特定したい場合は、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示請求や発信者情報開示命令の利用を検討します。
発信者情報の開示が認められるには、投稿によって自社や個人の権利が侵害されたことが明らかであることや、損害賠償請求など開示を受ける正当な理由があることなど、法律上の要件を満たす必要があります。
そのため、「来店した覚えのない人物による低評価だった」「事実と違う部分が含まれていた」といった事情だけで、直ちに投稿者を特定できるとは限りません。名誉権や信用などの権利侵害にあたるかは、投稿全体の内容や前後関係を含めて判断されます。
発信者情報開示命令では、SNSなどを運営するコンテンツプロバイダにIPアドレス等の開示を求め、アクセスプロバイダに発信者の氏名・住所等の開示を求める手続きが用意されています。
発信者情報の開示によって投稿者を特定できた場合は、投稿内容や被害に応じて民事・刑事上の対応を検討します。
虚偽の投稿などによって損害が生じている場合は、投稿者との示談交渉や損害賠償請求が選択肢になります。投稿内容が名誉毀損罪や信用毀損罪などに該当すると考えられる場合には、刑事告訴を検討するケースもあります。
どの対応を取れるかは、口コミの内容や証拠、実際に生じた損害によって異なります。発信者情報の開示を含めて法的措置を検討する場合は、早い段階で弁護士に相談するのが適切です。
口コミの削除申請と開示請求は、目的が異なります。削除申請は問題のある口コミをGoogle上から削除してもらうための手続きで、開示請求は投稿者を特定するための手続きです。
Googleのポリシーに違反する口コミは、GoogleビジネスプロフィールやGoogleマップから報告できます。
削除の対象になるかどうかは、店舗にとって不都合な内容かではなく、Googleのポリシーに違反しているかで判断されます。報告した口コミが削除されなかった場合には、条件を満たせば再審査を請求できます。
削除の可否や具体的な報告手順については、Googleの口コミは削除できるのか?ポリシー違反口コミの報告と削除手順もあわせてご覧ください。
発信者情報開示請求は、権利を侵害する投稿を行った人物を特定するための手続きです。
一定の要件を満たす場合、コンテンツプロバイダにIPアドレスなどの開示を求めたり、アクセスプロバイダに発信者の氏名や住所などの開示を求めたりできます。
投稿者を特定した後に損害賠償請求などを検討する場合は、削除申請とは別に発信者情報の開示が必要になることがあります。
口コミをGoogle上から消すことが目的なら削除申請、投稿者を特定して法的責任を追及することが目的なら発信者情報開示請求を検討します。
両者は必ずしも「削除申請をしてから開示請求へ進む」という関係ではありません。投稿内容や被害の状況によっては、削除を求めながら発信者情報の開示について弁護士に相談するケースもあります。
特に投稿者の特定を検討している場合は、通信記録などの問題もあるため、削除申請の結果を待ってから対応を考えるとは限りません。
削除の可否や具体的な報告手順については、Googleの口コミは削除できるのか?ポリシー違反口コミの報告と削除手順もあわせてご覧ください。
Google口コミの投稿者を特定するには、Googleやインターネット接続事業者が保有する発信者情報の開示を求めます。
具体的な手続きは事案によって異なります。現在は、従来の発信者情報開示請求に加え、裁判所の「発信者情報開示命令」を利用する方法があります。
まず、対象となる口コミの内容や投稿日時、投稿者のプロフィール、口コミが掲載されているURLなどを保存します。
発信者情報の開示には、投稿によって権利を侵害されたことなど、法律上の要件を満たす必要があります。単に低評価である、内容に納得できないという理由だけで開示が認められるわけではありません。
削除申請を行う場合も、投稿が削除される前に必要な証拠を保存しておくことが重要です。
投稿者を特定するには、まず口コミの投稿に使用されたIPアドレスなど、Googleが保有する情報の開示を求める場合があります。
Googleへ任意に開示を求める方法のほか、裁判手続きを利用する方法があります。どの情報を請求できるか、どの手続きが適しているかは事案によって異なります。
IPアドレスなどから投稿時に利用されたインターネット接続事業者を特定できた場合は、その事業者が保有する氏名や住所などの発信者情報の開示を求めます。
この段階でも、権利侵害が明らかであることや、損害賠償請求などのために情報の開示を受ける正当な理由があることなどが審査されます。
2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法では、「発信者情報開示命令」という裁判手続きが新設されました。現在の法律名は「情報流通プラットフォーム対処法」です。
発信者情報開示命令では、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する情報開示を、一つの裁判手続きの中で進める仕組みが設けられています。
従来の開示請求がなくなったわけではなく、事案に応じて手続きを選択します。口コミの内容や保有されている情報によって進め方が変わるため、投稿者の特定を目的とする場合は弁護士に相談して手続きを決めるのが現実的です。
発信者情報の開示を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用のほか、利用する手続きに応じて裁判所へ納める手数料や郵便料などがかかります。投稿者を特定した後に損害賠償請求まで進める場合は、その対応にも別途費用が発生することがあります。
費用の中心となるのは弁護士費用です。着手金や報酬金の設定は法律事務所によって異なり、Googleなどのコンテンツプロバイダへの対応だけを依頼するのか、アクセスプロバイダへの開示や投稿者への損害賠償請求まで依頼するのかによっても変わります。
発信者情報開示命令を申し立てる場合は、裁判所へ申立手数料などを納めます。東京地方裁判所では、開示命令、提供命令、消去禁止命令について、それぞれ1件につき1,000円の申立手数料が案内されています。
実際の総額は事案や依頼内容によるため、弁護士へ相談する際は、投稿者の特定までの費用と、その後の損害賠償請求まで進めた場合の費用を分けて確認すると分かりやすくなります。
投稿者を特定できた後は、投稿によって生じた損害について賠償を求めることがあります。
ただし、認められる損害賠償額は、投稿内容、権利侵害の程度、拡散状況、実際に生じた損害などによって異なります。「名誉毀損なら一律○万円」と決まっているわけではありません。
発信者を特定するために支出した費用についても、すべてを投稿者から回収できるとは限りません。そのため、開示請求を検討する際は、投稿者を特定する目的と、特定後にどのような対応を取るのかをあらかじめ整理しておく必要があります。
発信者情報開示請求は、支払った費用より多くの損害賠償を得られるかだけで判断するものではありません。
悪質な投稿を繰り返している人物を特定したい、損害賠償を請求したい、今後の投稿を止めるために法的対応を取りたいなど、目的によって判断は変わります。
弁護士へ相談する際は、投稿者を特定できる可能性、必要な手続き、想定される費用、特定後に取れる対応を確認したうえで、開示請求へ進むかを決めます。
低評価や批判的な口コミが投稿された場合は、評価の低さだけで削除や法的対応を判断せず、まず投稿内容を確認します。実際の利用体験に基づく不満なのか、Googleのポリシーに違反する内容なのか、権利侵害が疑われる投稿なのかによって対応は異なります。
最初に、口コミに書かれている日時、サービス内容、担当者、出来事などを社内の記録と照合します。
「待ち時間が長かった」「接客が冷たく感じた」といった利用者の感想と、実際には利用していない人物による投稿や、事実と異なる内容を断定する投稿では、対応方法が異なるためです。
低評価や厳しい意見であることだけを理由に、Googleへ削除を求めることはできません。削除申請を検討する場合は、Googleのポリシーのどの項目に該当するのかを確認します。
実際の利用体験に基づく不満であれば、内容を確認したうえで返信を検討します。
事実として確認できる問題があれば、謝罪や今後の対応を簡潔に伝えます。一方、店舗側の認識と異なる内容が含まれている場合は、投稿者を責めるのではなく、確認できた事実を冷静に説明します。
口コミへの返信は投稿者だけでなく、後からその口コミを見るユーザーにも表示されます。個人情報や利用履歴など、公開する必要のない情報を返信欄へ書かないよう注意が必要です。
日頃寄せられている口コミを確認・分析する方法については、Googleで口コミを検索・分析する方法|店舗運営に活かす活用術と投稿促進のコツも解説で詳しく解説しています。
実体験に基づかない投稿、嫌がらせ、個人情報の掲載、なりすまし、店舗と無関係な内容など、Googleのポリシーに違反する口コミは報告できます。
報告後はGoogleの審査によって削除の可否が判断されます。削除されなかった場合でも、対象となる口コミについて再審査を申し立てられる場合があります。
削除申請の具体的な手順は前章で紹介した関連記事を参照してください。
Googleが口コミを削除しなかったからといって、必ず返信する必要はありません。
利用者の不満や事実関係の説明によって誤解を解ける内容なら、返信する意味があります。一方、投稿者との応酬によって状況が悪化する可能性がある場合や、権利侵害が疑われる投稿について法的対応を検討している場合は、公開の場で反論を重ねない方が適切なこともあります。
投稿による権利侵害が疑われる場合は、口コミの内容やURL、投稿日時などを保存し、必要に応じて弁護士へ相談します。
悪質な口コミへの対応では、投稿内容だけでなく、店舗側の行動にも注意が必要です。返信の内容や口コミの集め方によっては、かえって問題を広げることがあります。
批判的な口コミに対して、感情的に反論したり、投稿者を攻撃したりする返信は避けます。
たとえば、次のような返信です。
「あなたのような客には二度と来てほしくない」
「こちらには一切非がない。文句があるなら訴えてください」
口コミへの返信は投稿者だけでなく、店舗を調べている他のユーザーにも表示されます。事実関係を説明する必要がある場合も、相手への非難ではなく、店舗側で確認できた内容を簡潔に記載します。
法的対応を検討している口コミについては、公開の返信欄で詳細な反論を続けるより、証拠を保存したうえで弁護士に相談した方が適切な場合もあります。
低評価を目立たなくする目的で、店舗関係者が高評価の口コミを投稿する行為はGoogleのポリシーに反します。
割引やプレゼントなどの特典を条件に口コミ投稿を依頼する方法も避ける必要があります。低評価への対策として口コミを人為的に操作するのではなく、実際に利用した顧客が自発的に投稿できる環境を整えます。
口コミが投稿される理由やユーザーの行動については、口コミはなぜ書かれるのか? 店舗集客を左右する「投稿行動の深層心理」を徹底解剖でも詳しく紹介しています。
削除申請や開示請求を検討する口コミについては、投稿内容や対応履歴を保存します。
記録しておきたい主な情報は、口コミの内容、投稿日時、投稿者名、URL、店舗側で確認した事実、Googleへの報告状況、返信の有無などです。口コミが後から編集・削除される可能性もあるため、必要に応じて画面の保存も行います。
複数店舗を運営している場合は、店舗ごとに対応方法が分かれないよう、本部で口コミと対応状況を確認できるようにしておくと管理しやすくなります。
悪質な口コミへの削除申請や法的対応が必要になるケースは限られます。一方、日常的な口コミの確認や返信は継続して行う必要があります。複数店舗を運営している場合は、各店舗の対応状況を本部で把握できる体制を整えておくことも重要です。
STOREPADは、複数店舗のGoogleビジネスプロフィールや口コミをまとめて管理できるサービスです。
複数店舗に寄せられた口コミをまとめて確認できる
本部から各店舗の返信状況を確認できる
口コミへの対応漏れを把握しやすくなる
Googleビジネスプロフィールの情報を複数店舗まとめて管理できる
店舗ごとに口コミを確認していると、返信漏れや対応状況の把握に時間がかかります。STOREPADを利用すれば、本部で各店舗の口コミと対応状況を確認しながら運用できます。
悪質な口コミへの具体的な対応方法については、悪質なGoogle口コミはどう対応する?開示請求の流れとポジティブ評価を増やす5つの方法でも解説しています。
必要な期間は、利用する手続きや事案によって異なります。
発信者情報開示では、Googleなどのコンテンツプロバイダとインターネット接続事業者が保有する情報を確認しながら投稿者の特定を進めるため、短期間で完了するとは限りません。
裁判所の発信者情報開示命令を利用する方法もありますが、具体的な期間は一律ではありません。法的対応を検討している場合は、必要な手続きと見通しを弁護士に確認します。
削除申請と発信者情報開示は目的が異なるため、状況に応じて並行して検討できます。
削除申請はGoogle上から口コミを削除してもらうこと、発信者情報開示は投稿者を特定することが目的です。投稿者への損害賠償請求などを検討している場合は、削除申請の結果を待たずに発信者情報の開示について相談するケースもあります。
開示請求をしても、必ず投稿者を特定できるわけではありません。
発信者情報の開示には法律上の要件があり、権利侵害が認められない場合などは開示されないことがあります。また、投稿から時間が経過すると、発信者の特定に必要な情報が残っていない場合もあります。
開示請求や損害賠償請求を検討するケースについては、Googleの口コミが裁判に発展するケースに注意!ネガティブ投稿への正しい対処法とMEO活用術も参考にしてください。
Google口コミの投稿者は、口コミ欄に表示される情報だけで特定することは困難です。投稿によって権利を侵害されている場合は、発信者情報開示請求や発信者情報開示命令によって投稿者の情報を求められる可能性があります。
口コミを削除したい場合と、投稿者を特定して法的責任を求めたい場合では、必要な対応が異なります。Googleのポリシーに違反する投稿は削除を申請し、権利侵害が疑われる場合は証拠を保存したうえで、発信者情報の開示を含む対応を検討します。
複数店舗を運営している場合は、問題のある口コミだけでなく、日常的な口コミや返信状況を本部で把握できるようにしておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。
店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。

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監修者プロフィール
折川 穣(Jo Orikawa)
IXYASのCMO。ex-Google。複数のスタートアップにて営業・マーケ・CS組織を立ち上げ、SaaSのAPI連携や販売代理モデルを構築。Microsoftではパートナーと連携し、AI市場の拡大戦略を推進。MAIAの取締役COOを兼務。https://www.linkedin.com/in/jorikawa/
