
コロナ禍収束後、訪日外国人は急速に回復し、日本各地のレストランや飲食店にはインバウンド需要が戻りつつあります。とくに日本食は「日本に来る目的の一つ」として選ばれることが多く、レストランにとってインバウンド対策は今後の売上を左右する重要なテーマになっています。
一方で、インバウンド レストランとして選ばれるためには、多言語メニューやキャッシュレス決済、Wi-Fi環境、MEO対策など、取り組むべきことが多岐にわたります。時間や費用といったコストも発生するため、「何から手を付けるべきか」「本当に効果が出るのか」と悩む方も少なくありません。
この記事では、レストランがインバウンド対策を行うべき背景とメリットを整理したうえで、今すぐ実践できる具体的なインバウンド対策7選と、実施時のポイントを解説します。
※■POINT※
・飲食店がインバウンド対策をおこなうと売上増加や集客向上を期待できる
・訪日外国人が検索するツールを活用し、インバウンド対策をおこなう(口コミサイトやSNS、Googleマップなど)
飲食店がインバウンド対策をおこなうべき理由は、主に以下の4つです。それぞれ簡潔に説明します。
競合店舗との差別化になる
国内だけの集客には限界がある
訪日外国人が増えている
訪日外国人は日本食体験を強く期待している
インバウンド需要の増加にともない、外国人観光客への対応を進める飲食店は着実に増えています。とはいえ、多言語メニューを用意しただけ、Googleマップに登録しただけといった「最低限の対応」にとどまっているケースもまだ多いです。
自店のコンセプトや立地、ターゲット国に合わせて、独自性のあるインバウンド対策を設計できれば、「インバウンドに強い店」として競合との差別化が可能になります。結果として、同じエリアの中で優先的に選ばれる店舗を目指せます。
日本の人口は年々減少しており、2070年には総人口が9,000万人を下回ると推計されています。今後、国内居住者だけを対象に売上を維持・拡大することは、徐々に難しくなっていきます。
訪日外国人を新たな顧客層として取り込めれば、国内外を問わず幅広い顧客基盤を構築できます。観光エリアだけでなく、ビジネス街や郊外のレストランでも、インバウンド対策を進めることで、平日や閑散期の売上補填や客単価アップが期待できます。
SNSや動画サイトの普及により、日本の観光地やレストランの情報は世界中で拡散されています。中国や東南アジア諸国の経済成長、台湾をはじめとする日本への好感度の高さもあり、日本を訪れる外国人は増加傾向が続いています。
2024年10月の訪日外国人旅行者数は約331万人と推計され、年間の訪日客数は過去最高を更新する見通しです1 2。日本政府は2030年に訪日外国人6,000万人の達成を目標に掲げており、中長期的にもインバウンド需要の拡大が見込まれます。
こうした流れを確実に売上につなげるためにも、店舗側が早い段階からインバウンド対策を整えておくことが重要です
*1出典:日本政府観光局「訪日外客数(2024年10月推計値)」
*2出典:JTB「2024年(1月~12月)の旅行動向見通し」
観光庁の調査によると、訪日前に最も期待していた体験として「日本食を食べること」が第1位に選ばれています。実際の滞在中に体験したこと、次回以降に体験したいことを尋ねたアンケートでも、日本食体験は常に上位に挙げられています*3。
さらに、2024年7〜9月期の訪日外国人の旅行消費額の内訳では、飲食費が宿泊費・買物代に次いで大きな割合を占めています*4。
日本食レストランや居酒屋にとって、インバウンド対策は「余力があればやる施策」ではなく、「本来取りに行くべき需要」に応えるための必須テーマと言えます。
*3参考:観光庁「訪日外国人の消費動向(2024年4-6月期 報告書)」
*4参考:観光庁「2024年7-9月期の調査結果(1次速報)の概要」
インバウンド対策を実際に進める前に、「対策を行うことで得られるメリット」と「訪日外国人がどうやって店舗を探しているのか」を押さえておく必要があります。
観光庁の調査では、日本酒など“日本ならではの飲食体験”を楽しみにしている訪日客が一定数いると報告されています。実際、飲食費は訪日外国人の旅行消費額の中でも大きな割合を占めており、日本人客と比べて客単価が高い傾向があります。
インバウンド対策で来店数を増やせれば、以下のようなメリットが得られます。
売上の底上げにつながる(客単価・来店数の両面)
SNSや口コミ経由で新規顧客が獲得しやすくなる
料理写真・接客体験が自然に拡散され、認知が広がる
Googleマップに口コミが蓄積し、検索順位(MEO)向上にも効果的
訪日客の満足度が高い店ほど、SNS投稿や口コミで紹介されやすく、継続的な新規流入につながります。
訪日外国人が利用店舗を探す際の情報源は、国やエリアによって異なりますが、共通して重要なのは「オンラインで事前に調べる」という行動です。
参考にされている情報源
動画サイト(YouTube など)
SNS(Instagram、TikTok、Facebook など)
個人ブログやレビュー記事
宿泊予約サイト・口コミサイト(Tripadvisor、大衆点評など)
旅行前に「どの店に行くか」を決めているケースは非常に多く、Googleマップに掲載されている写真・口コミも強く影響します。
このため飲食店は、「探されたときに選ばれる情報を出しておく」ことが重要で、SNS・動画・口コミ・マップ・予約サイトのいずれかが欠けると、来店機会を逃しやすくなります。
飲食店での効果的なインバウンド対策として、以下の7つを紹介します。
多言語対応のメニューや看板を用意する
豊富な決済手段に対応する
無料Wi-Fiを完備する
多言語に対応したSNSを運用する
外国語接客に対応できる体制にする
インバウンド向けサイトに情報を掲載する
Googleマップ(MEO)を最適化する
まず整えるべきは、メニュー・店内POP・看板などの多言語対応です。英語や中国語、韓国語の表記を用意すれば、スタッフが外国語を話せない場合でもスムーズに注文を受けられます。翻訳機能つきのモバイルオーダーを導入すれば、オペレーションの負担も軽減できます。
観光庁の「訪日外国人が旅行中に困ったこと」の調査でも、言語の違いによるコミュニケーションの難しさ、多言語表示の不足が大きな課題として挙げられています*5。基本施策でありながら、対応していない店との差が出やすい領域です。

*5出典:観光庁|令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果
同じく調査では、クレジットカードやデビットカードが使えない不便さも指摘されています。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど、主要なキャッシュレス決済には最低限対応しておきましょう。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会のデータ(2022年)では、キャッシュレス比率は
韓国:99.0%
中国:83.5%
日本:36.0%
と公表されており、日本は相対的にまだ低水準です*6。アジア圏からの旅行者が多いからこそ、キャッシュレス対応の遅れはそのまま機会損失につながります。

*6出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会|世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2022年)
旅行中の訪日客にとって、ネット接続の確保は必須です。店内に無料Wi-Fiがあれば、ルート検索やSNS投稿がスムーズになり、満足度が高まります。食事中に撮影した写真・動画をリアルタイムで投稿してくれる可能性も高まり、新規来店につながる自然な宣伝効果が見込めます。
導入時は、SSID(ネットワーク名)を分かりやすくし、パスワードの案内を入口やメニューに掲示するなど、利用手順を多言語で明記しておくとストレスなく利用してもらえます。
観光庁が発表した訪日外国人の消費動向では、出発前に役立った情報源としてSNSを利用した旅行者が35.8%と上位に挙げられています。写真・動画中心で情報収集する層が増えているため、InstagramやTikTokなどで多言語投稿を行うことで、店舗の認知を広げられます。
また、国によって利用するSNSが異なる点も重要です。
例:
台湾:Instagram、Facebook
アメリカ・欧州:Instagram、YouTube
中国:小紅書(RED)、WeChat、Weibo
ターゲット国が明確な場合は、それぞれの主要SNSを優先して発信することで効率的にリーチできます。
韓国 | 中国 | 台湾 | アメリカ | 香港 | |
1位 | NAVER | Ctrip | YouTube | TripAdvisor | YouTube |
2位 | YouTube | TikTok | YouTube | ||
3位 | 個人ブログ | Backpackers | Travel+Leisure | Go!Japan | |
4位 | picnet | National Geographic | U magazine | ||
5位 | Daum | RED | LINE | ||
6位 | Qunar | Netflix | Like Japan | ||
7位 | Kakao Talk | Fliggy | PPT | Gotrip | |
8位 | My real trip | Baidu | Expedia | Discuss | |
9位 | X(旧Twitter) | Mobile 01 | Fodor's | Weekend Weekly | |
10位 | Netflix | 大衆点評 | Tripadvisor | Conde Nast Traveller | Netflix |
参考:日本政府観光局|訪日旅行データハンドブック(2023年版)
インバウンド対応では、外国語での案内に最低限対応できる体制が重要です。外国語が話せるスタッフを採用できれば理想的ですが、全員が流暢に話す必要はありません。簡単な挨拶や注文時の基本フレーズを共有しておくだけでも接客品質は向上します。
また、翻訳アプリや音声翻訳機を活用すれば、説明不足や注文ミスを防げます。スタッフの負担を減らしながら、外国人客に安心感を提供できる点もメリットです。
訪日客は、旅行前の情報収集でインバウンド向けポータルサイトをよく利用します。多言語に対応したサイトに店舗情報を掲載しておくことで、事前検討段階での露出が高まり、来店につながりやすくなります。
サイトによってユーザー層・対応言語・掲載料金は異なります。無料掲載が可能なものや、SNS広告配信・SEOサポートなど追加機能を持つサイトもあるため、ターゲット国と目的に合わせて選ぶことが重要です。
Googleマップは世界的に利用され、2022年には累計10億ダウンロードを超えています。飲食店にとって最重要の集客チャネルであり、訪日客が店を探す際にも必ず参照される媒体です。
インバウンド対策としては、以下を必ず実施しておきましょう。
店舗情報(営業時間・住所・電話番号)の正確性を維持する
メニュー・料理・店内写真を豊富に掲載する
多言語説明を設定する
検索キーワードと関連する項目(料理ジャンル・特徴)を登録する
口コミへの返信を継続的に行う
Googleマップは口コミを自動翻訳してくれるため、外国語レビューへの対応もしやすく、インバウンド集客と相性が良い媒体です。Wi-Fiの有無、キャッシュレス対応、バリアフリー情報など、訪日客が重視する項目も明確に記載しておくと効果が高まります。
最後に、飲食店でインバウンド対策をおこなう際におさえるべき5つのポイントを解説します。
国や地域によって、食文化・価値観・制約は大きく異なります。まずは「誰に向けて最適化したいのか」を定めることが、施策の精度を高める最短ルートです。
例:
アジア圏の旅行者
辛味控えめ、鶏・魚メニューを好む傾向。
イスラム圏の旅行者
ハラール対応、豚肉・アルコール不使用の明示が必須。
欧米圏の旅行者
ベジタリアン・ヴィーガンへの対応需要が高い。
訪日客は、日本とは異なる宗教観や食文化を抱えています。誤解や不安を避けるために、以下を事前に整理します。
ハラール、ヴィーガン、カシュルートなど必要に応じた対応
原材料・調味料の多言語表記
アレルギー情報の見える化
「何が使われているかわからない」は大きな不安要因になるため、表示の丁寧さが満足度に直結します。
インバウンド対策では、Googleマップが最重要チャネルのひとつです。検索行動の起点になり、訪日客が最も信頼する情報源でもあります。自動翻訳対応のため、外国人客が情報を読みやすい点でも強力な媒体です。
実施すべき項目:
Googleビジネスプロフィールの徹底更新
メニュー・料理写真・店内写真を充実させる
多言語説明の設定
NAPの統一(店名・住所・電話番号)
外国語レビューの促進と返信
キャッシュレス・Wi-Fiなどの提供情報を明記
インサイトを使った訪問者属性の把握
検索されやすいキーワードの組み込み
自店の施策を強化するには、競合の取り組みを把握することが近道です。
確認ポイント:
メニュー表記や写真の工夫
価格帯、レビュー評価の傾向
SNS・Googleマップでの訴求内容
多言語対応のレベル
観光客がどこに価値を感じているか
成功している店舗の要素を参照しつつ、差別化できる部分を設計しましょう。
訪日客は「その店でしか味わえない経験」に価値を感じます。特別な仕掛けを用意することで、SNS投稿や口コミ促進にもつながります。
例:
季節で温度が変わるおしぼりなど、日本独自のサービス
こだわり食材のストーリー紹介
メニューの食べ方・楽しみ方を多言語で提示
料理人や店舗の歴史の紹介
また、国ごとにサービスルールが異なるため、会計方法・待ち時間・チャージ料の有無などは事前に明確に伝えることが重要です。
ここからは、イクシアス株式会社が提供する「STORE PAD」導入による、インバウンド集客の成功事例を紹介します。
天ぷら綱八(株式会社綱八) 事例の詳細はこちら
天ぷら綱八は、主要都市を中心に33店舗を展開する大正13年創業の老舗天ぷら屋です。インバウンド需要の加速に対応するため、STOREPADを導入しました。
コロナ禍の際は、主に日本国内向けの投稿を行っていましたが、インバウンド需要の増加に伴い、英語翻訳機能を活用して外国人向けの投稿も開始。その結果、外国からの来店者が増え、特に銀座エリアでの競合店舗との差別化に成功しました。
STOREPADの導入により、投稿や口コミ返信の管理が効率化され、ネガティブな口コミにも迅速に対応できるようになり、MEO順位の向上も実現。今後は、人手不足への対応として、電話対応の負担軽減や現場オペレーションの効率化を期待しています。
175°DENO担々麺 事例の詳細はこちら
175°DENO担担麺は、札幌発の担担麺専門店。STOREPADを導入し、ブランディング強化やインバウンド対策、口コミ管理の効率化を実現しています。
STOREPAD導入前はSNSやGoogleビジネスの運用に手間がかかり、効率的に運用できていないと感じていましたが、STOREPADを活用することで、情報発信の工数削減と最適な運用が可能になりました。特に、インスタグラムの投稿をGoogleビジネスプロフィールにも反映させる機能や、PR文を自動で追加できる機能が役立っています。
また、口コミ管理も一元化され、グルメサイトの口コミも効率よく確認できるようになりました。インバウンド対策として、Googleビジネスプロフィールに自動で英語文章を追加する機能を活用し、海外の顧客へのPRも強化しています。今後も新機能を活用し、情報発信を進めていく予定です。
これらの飲食店のように、「STORE PAD」を活用した集客の成功事例は他にも多数あります。詳細な事例はこちらでご覧いただけます。
飲食店のインバウンド対策は、Wi-Fiや決済機器の導入、多言語対応のメニュー表やポップ作成、MEO対策、SNS運用など多岐にわたります。しかし、時間や手間などのコストが多くかかるため、店舗運営と両立して進めるのは困難です。そんなときは「STORE PAD」の活用がおすすめです。
STORE PADとは、SNSや地図アプリなど業界最多23媒体において、情報発信から予約管理、来店促進まで一括対応できるDXツールです。地図アプリやポータルサイト、インバウンド向けメディア、SNS、HPなどのさまざまな媒体への一括情報発信を可能にします。さらに、口コミ分析や管理、翻訳機能、リピート促進など豊富な機能が備わっています。工数の多いMEO対策やSNS運用にかかる業務時間を減らし、大幅な業務効率化が実現可能です。
インバウンド集客をしたい店舗運営者は、ぜひ「STORE PAD」の資料をダウンロードして、機能をご確認ください。
>>メニュー翻訳はインバウンド対策に必須!役立つツールや上手に活用するポイントを解説
>>インバウンド集客に効くSNS活用法|訪日外国人を惹きつける成功ポイントを徹底解説
店舗ビジネスの成功を左右するのは「集客」と「顧客満足度」です。店舗事業者が押さえるべき基本的な集客手法から、ポータルサイトやホームページの活用法、Googleビジネスプロフィールの攻略ポイント、SNSマーケティングの基礎知識、さらにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの活用まで、実践的なノウハウをぎゅっと詰め込みました。 無料でダウンロードできますので、ぜひお店の集客やマーケティングに役立ててください。
監修者プロフィール
遠藤 啓成(Endo Hiromasa)
イクシアス株式会社 マーケティング・セールス室 室長。USENにてPOSレジをはじめとするDXサービス全般のマーケティングや事業企画、店舗事業推進部企画課課長として飲食店やホテルの運営にも従事。複雑化する店舗のWEB集客課題を解決したいという強い思いからイクシアスに参画。フリーランスの美容師としても活動中。管理美容師、化粧品検定1級、食品衛生管理責任者、防火防災管理者、ITパスポートを保有。USEN時代には、優れた業績を評価されGOODJOB賞を受賞。
